最新記事

核・ミサイル開発

インドの新型ICBMで「中国全土が核攻撃の射程内」

2018年1月19日(金)12時30分
クリスティーナ・チャオ

インドの新型ICBM「アグニV」は中国を射程内に(写真は12年の最初の発射実験) DRDO/REUTERS

<今週インドが射程5000キロ超のICBM「アグニV」の発射実験に成功したことを発表。インドは中国全土が核攻撃の射程内に入ったと主張している>

今週18日、インドは東部オリッサ州沖合の発射施設で、核弾頭が搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)「アグニV(ファイブ)」の5回目の発射実験に成功した。

今回の実験はアグニV開発の最終段階で、これによって陸上発射型ICBMとして実践配備に一歩近づいた。CNNによればアグニVの射程距離は約5000キロ以上で、中国北部までが射程内に入る。

インドのニルマラ・スタラマン国防相は18日、「本日午前9時53分、インドは射程5000キロのICBMアグニVの発射実験に成功した。ミサイルキャニスターはインド製で、ロケット装置は3段式。オリッサ州沖のアブドゥル・カラーム島から発射された」とツイートした。

アグニVはインドの防衛研究開発機関(DRDO)が進めるアグニシリーズミサイル開発の一部。高さ約17メートルで、2012年に最初の発射実験が実施され、昨年12月には4回目の発射実験が実施された。

元インド軍大佐のアジャイ・シュクラはCNNの取材に対し、インドは徐々に「複雑な発射実験のプロセス」に習熟してきている、と語っている。また、アグニVの最大射程には中国全土が入っていると主張した。

全米科学者連盟によると、インドは約130発の核弾頭を保有していると見られている。

インドのニュースチャンネルNDTVは、アグニVの今回の発射実験を伝えたうえで、これによって「ICBMを所持する超高級クラブ」でのインドの立場が保証されたと報じた。

中国の政府系メディア環球時報の英語版Global Timesは、今回のインドの実験について「世界のICBMクラブに入りたいインドの欲望」と非難した。また通常のICBMは8000キロ以上の射程があるが、アグニVの射程は5000キロしかないと批評している。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同

ワールド

ウクライナ大統領18日訪米へ、うまくいけばプーチン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中