最新記事
仮想通貨

ビットコイン調整の陰で急騰する仮想通貨「リップル」とは

2017年12月26日(火)16時45分
ジャック・ムーア

新旧の金融システムの橋渡しに適すると言われる通貨リップル allanswart-iStock.

<クリスマス前に1ドルの壁を突破したリップルの年初来成長率は2万%。投資家が安心感を抱く理由>

12月に最高値を付けた後3割値を下げた仮想通貨ビットコインに投資家が不安を募らせるなか、仮想通貨の支持者たちが盛んに勧めるもう一つの通貨がある。リップル社が開発した「リップル(XRP)」だ。

リップルの開発チームが目指しているのは、あらゆる通貨や仮想通貨建ての資金を、ものの数秒で別の通貨に交換すること。海外への送金も数秒で済む。時価総額は430億ドルで、世界第4位の仮想通貨だ。

リップルの価格は12月22日に初めて1ドルの壁を突破して1.37ドルに達した。仮想通貨にとって1ドル超えは意義深い。

12月初めのリップルの価格は0.24ドルだったので、470%上がったことになる。年初には0.006ドルだったので、上昇率は22,700%超となる。

ビットコインやイーサリアム、ライトコイン、ビットコインキャッシュといったほかの仮想通貨の価格高騰につられたのは間違いない。デジタル通貨取引所の米コインベースに上場するのではないか、という憶測も価格上昇にひと役買った。

どんな仮想通貨でも、投資が必ず利益に結びつくとは限らない。各国の中央銀行は、価値を裏付けるもののない仮想通貨への投資はギャンブルのようなものだと相次いで釘を刺している。

リップルが勝者になる理由

しかしリップル支持派は、リップルは既存の金融システムと新しい金融システムの中間に位置し、ライバル仮想通貨より安定性とスピード、セキュリティに優れ、既存の金融機関の扱いにも適しているという。

いくつかの金融機関はリップルの技術の試験導入に関心を示しており、2017年11月には大手クレジット会社アメリカン・エキスプレスと業務提携を結んでいる。フィンテックやファイナンス、テクノロジーの専門家からなるリップル・チームが大手金融機関との提携を重視するのは、リップルの流動性を確保するためだ。

リップルは2012年に設立され(当初の社名はオープンコイン)、ロンドン、サンフランシスコ、シドニー、インド、シンガポール、ルクセンブルクにオフィスを構えている。現在は50を超える仮想通貨取引所で取り扱われており、その数が増えるのは確実だ。

最大市場の1つはアジアだ。アジアのトレーダーはリップルの可能性に「熱狂している」と業界関係者は言う。

仮想通貨のスタートアップ企業にプラットフォームを提供するポリマスのCEO、トレバー・コベルコはフォーブス誌に対し、「人々はリップルというブランドやその技術に安心感を抱いている」と述べた。「仮想通貨が作り出すビジネスチャンスの大きさに、多くの人が気づき始めている。この時点の勝者がリップルになるのはそのためだ」

(翻訳:ガリレオ)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過去最高水準に
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 7
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中