最新記事

中東

アラブの盟主が「変心」? イスラエルと急接近の理由

2017年12月23日(土)14時30分
クリスティナ・マザ

ムハンマド皇太子(中央)が実権を掌握して以降、サウジアラビアはイランとの対決姿勢を強めている REUTERS

<サウジアラビアが、中東和平でパレスチナを犠牲にして水面下でイスラエルと手を組んでいるとの噂も>

中東和平のカギを本当に握っている国、それはサウジアラビアなのかもしれない。

イスラエルとパレスチナが和平を結ぶためにはサウジアラビアの協力が不可欠だと、イスラエルのカッツ情報活動相は最近のインタビューで語っている。「アラブの盟主であるサウジアラビアがパレスチナへの庇護を約束し、代わりに(米政府が用意する)和平案を受け入れるよう求めるべきだと思う」

いまサウジアラビアにとって重要な関心事は、中東でイランの影響力を弱めること。最近はイランへの対抗上、パレスチナへの支援より、イスラエルとの協調を優先させているように見える。もしそうだとすれば、カッツが期待するように、サウジアラビアはイスラエル寄りの和平案を支持する可能性がある。

12月6日、トランプ米大統領はエルサレムをイスラエルの首都と認めると発表し、アラブ諸国の反発を買った。アメリカが中東和平の仲介者の役割を果たすことは難しくなったとの声も上がっている。

サウジアラビア政府もトランプの決定を表向きは批判したが、本音は違うとの見方もある。イランの力をそぐために、米政府による仲介を支持し、イスラエルと協力することを望んでいる可能性が高いとみられている。

両国の連携は公然の秘密

アメリカとイスラエルも、サウジアラビアの協力は是非とも取り付けたい。「歴史的・宗教的に、サウジアラビアほどパレスチナに大きな影響力を持つ国はない」と、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のベンジャミン・ラッド研究員(中東情勢)は言う。「サウジアラビアが和平を主導してくれれば、イスラエルは最終合意にアラブ側のお墨付きも得られる」

トランプ政権で中東問題を担当するジャレッド・クシュナー上級顧問(トランプの娘婿)は、サウジアラビアのムハンマド皇太子と親密な関係を築いている。サウジアラビアはエルサレム問題で米政府を批判するより、イランを封じ込めることを優先させると、クシュナーは踏んでいるようだ。実際、今年6月にムハンマドが実権を握って以降、サウジアラビアはイランとの対決姿勢を強めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

キヤノン、26年12月期連結純利益は2.7%増を予

ワールド

中国、特殊詐欺犯ら11人の死刑執行 ミャンマー拠点

ビジネス

日野自、今期純利益予想を750億円に上方修正 価格

ワールド

EU、ベトナムとの外交関係格上げ 「国際秩序への脅
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 5
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 6
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    またTACOった...トランプのグリーンランド武力併合案…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中