最新記事

テクノロジー

中国の百度が遊び心で狙うAIの勝者の座

2017年12月12日(火)15時00分
クリスティーナ・ポニントン

レイブンHのデザインのアプローチは先行品とはまるで異なる Baidu Online Network Technology (Beijing) Co., Ltd

<軽やかな製品デザインはアメリカの先行組を追い上げる強力な武器>

テクノロジー業界で今、とりわけ興味深い企業といえば中国の百度(バイドゥ)だ。製品デザインを武器に、アメリカのテクノロジー最大手と渡り合おうとしている。

インターネット検索エンジンの世界で頭角を現した百度だが、近年では人工知能(AI)の技術力強化に力を入れている。同社のAI部門は1300人を擁する大所帯で、多額の投資によって自動運転車の分野でも、家庭向けAI製品の分野でもグーグルやアマゾン・ドットコムといった先行組を追っている。

11月に開催された新製品の発表イベントで、百度はバーチャルアシスタント分野における同社初の製品となるAIスピーカー「レイブンH」とロボット2種を発表した。

レイブンH(12月発売予定、256ドル)は、アマゾン・エコーやグーグル・ホーム、アップルのホームポッドの競合という位置付けだ。百度の対話型AIプラットフォームを使い、音声による指示で情報を検索したり音楽を再生したりタクシーを呼ぶといった作業をこなすという(このプラットフォームは既に100を超える中国メーカーの製品に採用されている)。

開発を担当したのは百度の子会社レイブン・テックとスウェーデンの家電メーカー、ティーンエイジ・エンジニアリングだ。

機能だけ聞くとよくあるAIスピーカーという印象だが、見た目は全く違う。先行品の多くは円柱形で、当たり障りのない色の布や網状に穴の開いたプラスチックで覆われている。だがレイブンHはスピーカーにはとても見えない。

色鮮やかな四角く薄いブロックが積み重なった小さなタワーといった趣で、一番上のブロックを持ち上げるとタッチパネル式のコントローラーが姿を現す。電源コードも昔の電話を思わせるくるくる巻いた赤いケーブルで、遊び心が感じられる。

また、同時に発表されたロボット「レイブンR」は映画会社ピクサーの電気スタンド形のキャラクター、ルクソーJrか現代アート作品かと思うような外見だ。6つの関節を持ち、ユーザーの指示を受けると動く。この動きによりロボットが感情を表しているような印象を与え、ロボットとのやりとりを楽しく演出するわけだ。一方、開発中の「レイブンQ」にはコンピュータービジョンなどの最新技術が搭載される予定だという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、国防長官候補の変更を検討中 ヘグセス氏

ワールド

韓国大統領の退陣圧力強まる、野党は4日にも弾劾法案

ビジネス

午前の日経平均は反落、前日高の反動 3万9000円

ワールド

原油先物が小動き、米在庫増やOPECプラス減産延長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない国」はどこ?
  • 4
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 5
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「IQ(知能指数)が高い国」はど…
  • 7
    健康を保つための「食べ物」や「食べ方」はあります…
  • 8
    混乱続く兵庫県知事選、結局SNSが「真実」を映したの…
  • 9
    なぜジョージアでは「努力」という言葉がないのか?.…
  • 10
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 6
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 9
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 10
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中