最新記事

中国外交

中国はトランプ訪日をどう見ているか

2017年11月7日(火)14時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

またトランプは日米財界人を前に「TPPからの撤退を取り消さない。いずれみんな、私の正しさが分かるだろう」と言ったと、中国では報道している。さらにTPPに代わるものとして、中国がグローバル経済をリードしていくとし、それが「習近平新時代」だと強調した。 

中国は米大財閥と太いパイプ

党大会が終わると、習近平は自分の母校、清華大学経営管理学院顧問委員会のメンバーである数十名の米大財閥の面々と、満面の笑顔で座談会を持った。

そこには、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースあるいはゼネラル・モーターズの会長やCEO等、多くの米財界人が顔を揃え、特にブラック・ストーンのシュワルツマン(中国名、蘇世民)が、いかにも習近平と仲良く歓談している姿が大写しになっている。

拙著『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』にp.31~p.34には、数十名に及ぶ米大財閥の名前が一覧表として表示してあるが、彼らはトランプを支え、これまでは大統領戦略政策フォーラムのメンバーとしてトランプ政権を支えていた。今はトランプの人種差別に対する発言などに怒って撤退した者もいるが、それでも今般の訪中では80名からの米財界人を引き連れてトランプがやってくると、中国は くり返し報道して、胸を張っている。

中韓合意文書で中国に身を売った韓国

韓国は文在寅(ムン・ジェイン)大統領誕生後、THAAD(終末高高度防衛ミサイル)の韓国配備や北朝鮮との対話路線などで揺れ、特にTHAAD配備に伴う中国による経済制裁を解除してもらおうと、中国にすり寄っていた。

中国の第19回党大会後の10月30日午前、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は、韓国の国会で

1.米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらないという韓国政府の既存の立場に変更はない。

2.韓米日安保協力が三者軍事同盟に発展することはない。

3.THAADの追加配備は検討していない。

と、「三不(三つの不)」を表明した。

このことについて同日の中国外交部による定例記者会見で、会場にいる記者の質問に対して外交部報道官は「中国側はTHAAD問題における韓国側の発言を重視している。韓国側が約束を具体的に実行し、問題を適切に処理して、中韓関係が平穏で健全な発展の道に早期に戻る後押しをすることを望む」と回答した。中国政府メディアや中国共産党メディアが伝えた。

時を同じくして、中韓両国の外交部のホームページに「中韓合意文書」が掲載され、中韓の関係改善が謳われている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金正恩氏が列車で北京へ出発、3日に式典出席 韓国メ

ワールド

欧州委員長搭乗機でGPS使えず、ロシアの電波妨害か

ワールド

ガザ市で一段と戦車進める、イスラエル軍 空爆や砲撃

ワールド

ウクライナ元国会議長殺害、ロシアが関与と警察長官 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあるがなくさないでほしい
  • 3
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世界的ヒット その背景にあるものは?
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 6
    BAT新型加熱式たばこ「glo Hilo」シリーズ全国展開へ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中