最新記事

経済

高齢化日本にヨーロッパが学ぶべき2つの教訓

2017年11月30日(木)18時30分
ダニエル・グロス(欧州政策研究センター部長)

「借金」なき成長への道

ヨーロッパが日本から学ぶべき第1の教訓は、人々が過剰貯蓄に走りがちな高齢化社会でも、経済成長は不可能ではないことだ。日本のインフレなき成長を見て、ECB(欧州中央銀行)は、「2%近い」インフレ目標の達成は、さほど重要ではないかもしれないと気付くべきだ。

ユーロ圏の諸事情を考えると、いずれにせよECBは、しばらくの間、国債の買い入れを控えなければならないだろう。つまり目に見える物価上昇がないなか、国債買い入れを続ける日本銀行と同じ手法は取れない。

日本からの第2の教訓は、大幅な貯蓄超過状態の国は、莫大な政府債務に耐えられるということだ。なにしろ国債の大部分が国内で消化されるため、国内で資金繰りができる。もちろん、だからといって借金を増やし続けることが望ましいはずはない。

日本の政府債務は、政府系金融機関の金融資産を差し引いても、GDP比150%を超える。しかもこの数字は上昇し続けている。このことは財政に関して重要な教訓を与えてくれる。すなわち低成長国では、政府債務のGDP比が急速に手に負えないレベルに上昇し得る。

幸いユーロ圏諸国の政府債務は、GDP比2%程度。財政赤字をGDP比3%以内に抑えるという安定成長協定が、債務水準の安定化という点では、一定の成果を上げたようだ。

ユーロ圏諸国は、財政政策と金融政策によって景気対策を講じることが制限されている。しかしそのことが、行き過ぎた債務の増加を防ぎ、最終的には生産年齢人口をフル活用するという、成長維持の唯一の道を開いてくれるだろう。

From Project Syndicate

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!

気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを

ウイークデーの朝にお届けします。

ご登録(無料)はこちらから=>>

[2017年11月21日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ロ首脳が今年初の電話会談、トランプ氏「良い協議」

ビジネス

フォルクスワーゲン、今年の利益率4.0─5.5%に

ワールド

米ニューメキシコ州、エプスタイン氏元牧場を捜索 遺

ビジネス

午後3時のドルは157円後半で方向感欠く、イラン情
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目のやり場に困る」密着ウェア姿がネットを席巻
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 6
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 7
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 8
    身長や外見も審査され、軍隊並みの訓練を受ける...中…
  • 9
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 10
    トランプも無視できない? イランで浮上した「危機管…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中