最新記事

日本政治

衆院選、安倍政権への批判票分散で自公圧勝 改憲手続き進む可能性

2017年10月23日(月)00時35分

10月22日、衆院選は自民・公明の与党が圧勝。安倍晋三政権に対する批判が強まっていたが、野党分裂によって批判票が分散され、自民党の勝利につながった。都内の自民党本部で撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

衆院選は22日に投開票が行われ、自民・公明の与党が圧勝した。安倍晋三政権に対する批判が強まっていたが、野党分裂によって批判票が分散され、自民党の勝利につながった。

だが、安倍首相は「謙虚に向き合う」と述べるとともに、争点の1つだった憲法改正でも与党だけで発議しないとし、改憲に前向きな希望の党や日本維新の会との連携に期待感をにじませた。

批判票が分散、自民党の勝利もたらす

東京大学大学院総合文化研究科の内山融教授は選挙結果について「安倍政権への批判票が、希望の党と立憲民主党、その他の野党の間で分散した結果、自民党が勝利した」と分析した。

PHP総研主席研究員で元自民党所属衆議院議員の亀井善太郎氏も「簡単に言えば野党の自滅だと思う。政権交代可能な勢力が完全に雲散霧消した」と述べた。

政策継続、消費税増税・憲法改正手続き進む

今回の結果を受け、2019年の消費税の税率10%への引き上げや憲法改正など、安倍首相の政策が継続されることになる。

内山教授は、経済財政政策に関し、アベノミクスで打ち出した積極財政や超金融緩和の出口戦略が見えないことに懸念を感じると指摘。「財政を健全化して、金融緩和も終了させていくというのが、今の安倍政権の姿勢から見えてこない」と述べる。

一方、亀井氏は、今後の経済政策について、一番大事なのは2018年の日銀総裁(人事)だとし「基本的には、(黒田総裁の留任も含めて)現状維持の人になる」との見通しを示した。

憲法改正について、希望の党や維新の会も積極的なので「国会の中では憲法改正の手続きが進む可能性が高い」(内山氏)とみられる。

ただ、国会で発議されても、最終的には国民投票という高いハードルがある。50%超の賛成を得られない場合、安倍内閣の信任にかかわることになるだけに、衆院で改憲勢力が3分の2を得ただけでは、「ゴール」を迎えたことにならない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「トランプ口座」は株主経済の始まり、民間拠出拡大に

ビジネス

米11月ISM非製造業指数、52.6とほぼ横ばい 

ワールド

EU、ウクライナ支援で2案提示 ロ凍結資産活用もし

ワールド

トランプ政権、ニューオーリンズで不法移民取り締まり
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 6
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    トランプ王国テネシーに異変!? 下院補選で共和党が…
  • 10
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中