最新記事

中国経済

急成長の中国航空産業で不正部品疑惑 米国にも波紋

2017年10月19日(木)18時51分

中国の航空宇宙産業は、単なる外国の航空機メーカーのサプライヤーではない。中国の航空会社は、ボーイングや欧州大手エアバスの最大級の顧客として名を連ねている。さらに中国はいま、国産ジェット旅客機を開発中で、初の狭胴型機「C919」は5月に初飛行を行った。

エアバスの品質管理担当マネジャーで、以前はムーグに勤務していた Mao Pingzhou氏は、中国はサプライチェーンの管理をさらに改善する必要があると指摘する。

「さまざまな手順が定められているが、従業員や監督者は必ずしも厳格に実行していない」と、Mao氏はロイターに語った。

ロイターの取材に対し、FAAはメールで回答を寄せ、内部告発者Charles Shi氏が指摘した安全性への懸念を調査し、指摘された内容のうち2件について事実と確認したと述べた。そのうち1件は対策が取られて終了した。もう1件は「ボーイングが修正策を実行してFAAが確認するまで、案件はオープン」としている。詳細への言及は避けた。

ボーイングは、ムーグとともに「2案件を調査し、すでに必要な修正作業は全て実施した」と回答した。また、「旅客の安全はわれわれの最優先の関心事だ」と強調した。

ムーグは、不正の指摘について「速やかに適切な調査」を行い、「疑惑の部品は全て飛行の安全に影響しないものだが、全て仕様に合致していることが確認された」とした。

FAAの報告書によると、ムーグが行った720時間超に及ぶ部品のストレステストでも異常は起きず、ボーイングはこれらの部品を航空機に装着したままにすることで合意した。

内部告発

Shi氏や同氏とFAAの間で交わされたメールによると、ムーグでかつて極東アジアのサプライチェーン管理を担当していたShi氏が内部告発ホットラインに接触したことを受け、FAAは2016年3月にムーグの部品の調査に着手した。

Shi氏とムーグの同僚とのメールによると、Shi氏はそれ以前にもムーグで、サプライヤーの蘇州市新鴻基精密部品(NHJ)が認証書類を偽造し、ムーグの許可なく下請けに依頼し、代替原料を使ったとの懸念を指摘していた。

ロイターは、Shi氏が語る内容を独自に確認することはできなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化

ビジネス

デジタルユーロ、大規模な混乱に備え必要=チポローネ

ビジネス

スウェーデン、食品の付加価値税を半減へ 景気刺激へ

ワールド

アングル:中ロとの連帯示すインド、冷え込むトランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中