最新記事

日本政治

パラドックス抱える政治家・小池百合子 日本の政治を揺さぶるか

2017年10月11日(水)12時00分

10月11日、政治家、小池百合子氏のチャレンジとは。キャスター時代、ベルリンの壁崩壊のニュースを報道し「世界は大きく変わっている。その中で日本は一体どうなるのか。私は伝える側から、ニュースメーカーになった」とロイターのインタビューで語った。10日、都内で街頭演説を行う小池氏(2017年 ロイター/Issei Kato)

東西ドイツを隔てるベルリンの壁が崩壊した1989年11月、小池百合子氏は37歳、経済番組のキャスターだった。このニュースを報道したことが、政治家を志すきっかけだったという。

「私が政治家になった1992年、その前に何があったか、ニュースキャスターで何を伝えたか、ベルリンの壁の崩壊です。世界は大きく変わっている。その中で日本は一体どうなるのか。私は伝える側から、ニュースメーカーになった」──。小池氏はロイターのインタビューで語った。

「日本の政治の動きがあまりに遅いので、私は外から批評をするより、アクセルレーターとして、中でプレイヤーとして直接携わろうと決めた」という。

小池氏をよく知る10人近い人や、今年に入ってから行った3回の本人とのインタビュー、そして過去の小池氏の政治家としての経歴の検証から浮かび上がってきたのは、多くの点でパラドックスを抱える1人の人物像だった。

国際的な考え方を持ちつつ、ナショナリストの面もある。起業家精神にあふれている一方で、古いオトコ社会の先輩の助けをかりてステップを上る。果敢にリスクを取るかと思えば、今回の総選挙で国政に出るという大きな賭けには出ようとしない。

彼女を良く知る人たちの一致した小池評、それは有権者、特に支持政党を持たない浮動層に対し、政策よりもイメージでアピールする卓越した「マーケティング能力」だ。

たとえば7月の東京都議会議員選挙で大勝利をおさめた「都民ファーストの会」のシンボルカラーであるグリーン。衆院選に向け立ち上げた希望の党のカラーでもある。

日本新党代表から1993年に首相になった細川護煕氏の当時の側近、成田憲彦氏は、小池氏のトレードマークになっている『百合子グリーン』は、細川氏が考えた当時の日本新党の色だった、と話す。

細川氏がまとめた野党連合は、結党以来政権の座を維持していた自民党を初めて倒し、与党となったが、政権は短命に終わった。

「日本新党のグリーンを最も使いこなし、かつ似合ってたのは小池さんだろう。当時からそういうセンスはあった」と成田氏は語る。


ニューズウィーク日本版 特集:知られざる小池百合子【本誌10/17号】特集:知られざる小池百合子

新党を率いて永田町に殴り込みをかけた「女刺客」小池百合子は日本政治を変えるのか?

日本政治 小池刺客劇場の危うい幕開け
■経歴 「勝負師」小池がたどった足跡
政党 小池新党と見果てぬ夢
■政党史 政権交代の夢と25年続く新党ブーム
中東 知られざる濃厚アラブ人脈
野党 わが民進党はなぜ失敗したのか?
政党交付金 民進党がため込んだ「カネ」の行方
詳しくはこちら=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は反発、半導体関連に物色 早期利上げ

ワールド

原油先物ほぼ横ばい、ウクライナ和平協議を注視

ワールド

スーダンの準軍事組織RSFが休戦表明 国軍は拒否

ワールド

銅相場は堅調、供給動向と米在庫を注視
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 10
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中