最新記事

ビジネス

低迷スーパー「ホールフーズ」を買ったアマゾンの皮算用

2017年9月12日(火)17時30分
ウィンストン・ロス

ホールフーズ買収でそれも変わるだろう。アマゾンは8月28日から、ホールフーズの生鮮品の取り扱いを開始。バナナやスモークサーモン、オーガニック卵などの一部定番商品は値下げすることも発表した。さらに今後は、ホールフーズの一部店舗で、アマゾンで注文した一般商品を受け取ることも可能になるという。

ホールフーズとしては今後、総菜(中食)に力を入れるのもいいかもしれないと、業界コンサルタントのロジャー・デビッドソンは言う。例えば、イギリスでサンドイッチ店としてスタートした「プレタ・マンジェ」は、ニューヨーク、ワシントン、ボストン、シカゴなどの都市部に大量出店して大いににぎわっている。

140平方メートルほどの店内は、一方の壁が冷蔵ショーケースになっていて、その日その店で調理されたサラダやサンドイッチがずらりと並ぶ。どれもオーガニック食材を使ったものだ。店の奥では、コーヒーとペストリーが置かれており、イートインコーナーもある。だがそれだけだ。リンゴもトイレットペーパーも置いていない。

【参考記事】リアル世界に生まれるフェイスブックの共同体

「時代は、大量生産された加工食品から、地元の食材を使った新鮮でヘルシーな食品に移っている」と、デビッドソンは語る。彼によると、現代の食品スーパー業界を生き抜くには、価格、便利さ、新鮮さの3つのうち、どれか1つで優れている必要がある。

「アルディやリドル、ウォルマートは価格が強みだ。アマゾンやプレタ・マンジェは便利。ホールフーズは新鮮さが売りだった。最近はちょっとのんびりして、努力を怠っていたけどね」

ベゾスの下で、ホールフーズがどんな変化を遂げるかは、まだ分からない。だが、のんびり努力を怠っている余裕がないのは間違いないだろう。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

[2017年9月 5日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意

ワールド

国際刑事裁の決定、イスラエルの行動に影響せず=ネタ

ワールド

ロシア中銀、金利16%に据え置き インフレ率は年内
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中