最新記事

核実験

北朝鮮、「水爆実験」と発表 過去最大規模で核保有へ着々

2017年9月3日(日)20時48分


水爆だった可能性、否定できず

北朝鮮による核実験は、昨年9月に続いて6回目。日本時間の3日午後零時半ごろ、北朝鮮北東部の豊渓里付近で地震が観測された。米地質調査所によると、地震の規模を表すマグニチュードは6.3と、昨年9月の前回実験の5.3よりもはるかに大きな規模だった。日本の気象庁は、前回の10倍以上の大きさと分析している。

小野寺五典防衛相は記者団に対し、「推定出力は70キロトンになると考えられ、過去の実験に比べてはるかに大きなものと認識している。今回の実験が水爆だったことも否定できない内容だったと考えている」と述べた。70キロトンは広島に投下された原爆の4倍以上、長崎の3倍以上。北朝鮮による前回の核実験の出力は11─12キロトンだった。

韓国ソウル大学のKune Y. Suh教授(原子工学)は、「これまでの実験に比べて10倍、20倍の大きさ。その規模であれば水爆と言える」と分析する。

日本は放射能物質の収集のため、集塵装置を積んだ航空自衛隊のT4戦闘機3機を離陸させた。中国も北朝鮮との国境で放射能の観測を開始した。

核ミサイルの完成時期

北朝鮮は昨年来、合計30発以上の弾道ミサイルを発射している。今年7月には米国本土に届くICBM級のミサイルを2発、8月には日本上空を通過する中距離ミサイルを1発発射した。

拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司教授は「北朝鮮は米国との対話の前に、手持ちのカードを有利にしたいと考え、なるべく早く核実験をやりたかったのだろう」と分析。「米国に届く核ミサイルが完成するのは、来年春ごろではないか。それ以降は抑止力が効かなくなる」と話す。

米国のマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は谷内正太郎国家安全保障局長と3日午後に電話で協議し、「米国の日本に対する拡大抑止を含めた安全保障上のコミットメントは揺るぎない」と改めて伝えた。

朝鮮中央通信は3日朝、北朝鮮の金労働党委員長が、核兵器の研究所を訪問したと報道。ICBMに搭載する水爆を視察し、「部品はすべて国産だ。これで強力な核兵器を好きなだけ作ることができる」と述べたと伝えていた。

(久保信博、山口貴也、梅川崇、ジャック・キム、スーリン・ウォン、デービッド・ブランストロム 編集:田巻一彦)

[東京/ソウル 3日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン・イスラエルの日本人退避で空自機派遣、バス移

ワールド

カナダ、今週末に初のLNG生産の見通し=関係者

ワールド

ロシア自動車販売、今年は前年比25%減に=アフトワ

ビジネス

米ヒルトンとマリオット、アフリカ事業拡大計画発表 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 2
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 6
    下品すぎる...法廷に現れた「胸元に視線集中」の過激…
  • 7
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 8
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 9
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 10
    電光石火でイラン上空の制空権を奪取! 装備と戦略…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 6
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 7
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 8
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中