最新記事

ミャンマー

衝突逃れバングラへ渡るロヒンギャ族 川岸に20人以上の遺体

2017年9月1日(金)12時09分

8月31日、少なくとも過去5年で最悪の状態となったミャンマー北西部の武力衝突から、数万人の少数民族ロヒンギャ族が避難するなか、バングラデシュ国境警備隊は過去2日間で川岸に打ち上げられた子どもを含む20人以上の遺体を回収したと明らかにした。写真は、バングラデシュ国境警備隊に足止めされるロヒンギャ族。テクナフで撮影(2017年 ロイター/Mohammad Ponir Hossain)

少なくとも過去5年で最悪の状態となったミャンマー北西部の武力衝突から、数万人の少数民族ロヒンギャ族が避難するなか、バングラデシュ国境警備隊は過去2日間で川岸に打ち上げられた子どもを含む20人以上の遺体を回収したと明らかにした。

国連では、ヘイリー米国連大使が、ロヒンギャ族の武装勢力による最近の攻撃を非難したうえで、ミャンマーの治安部隊に対して、国際的な人道法を順守する責任があるとし、罪のない市民への攻撃を回避するよう求めた。

国連筋3人によると、25日以降、イスラム教徒である約2万7400人のロヒンギャ族が、ミャンマーからバングラデシュに逃れている。ミャンマーのラカイン州で、ロヒンギャ族の武装勢力が警察や軍基地を襲撃し、衝突により少なくとも117人が犠牲となっている。

バングラデシュにいる国連筋の話では、約2万人のロヒンギャ族が2国間の緩衝地帯で立ち往生しているという。その数は3万人に増えるとも予想されている。

バングラデシュ国境警備隊の司令官によると、ロヒンギャ族の乗ったボートが転覆した後、ナフ川のバングラデシュ側の川岸でロヒンギャ族の子ども11人と女性9人の遺体を31日発見した。

その前日には、ミャンマー国境警備警察が発砲したボートに乗り合わせていた、ロヒンギャ族の女性2人と子ども2人の遺体を回収したという。バングラデシュにいるロヒンギャ族のリーダーは、生存者の話として、2つのボートは共にすし詰め状態だったと語った。

ミャンマー国境沿いのコックスバザールでは、ロヒンギャ族のための簡易避難所が昨年10月、同様の暴力事件発生後に設けられていたが、現在それは拡大されている。

避難所に到着したモハメド・ラシドさん(45)は目に包帯をしている。ミャンマー軍がロヒンギャ族に発砲し、銃弾の破片が目に当たり、負傷したという。

ラシドさんによると、100人程度で国境を目指したが、途中で爆発に何度か遭い、死人が出たという。

「私たちは2日間、森に身を潜めていた。その後、国境で止められたが、どうにか通過することができた。私たちの村が燃やされたと聞いた」と、ラシドさんはロイターに語った。

[コックスバザール(バングラデシュ) 31日 ロイタ]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月FOMCで利下げ見送りとの観測高まる、9月雇

ビジネス

米国株式市場・序盤=ダウ600ドル高・ナスダック2

ビジネス

さらなる利下げは金融安定リスクを招く=米クリーブラ

ビジネス

米新規失業保険申請、8000件減の22万件 継続受
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 6
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中