最新記事

債務

世界の政府・民間の債務合計1京8000兆円  FRB資産縮小で収縮に警戒

2017年9月22日(金)17時50分

9月22日、米連邦準備理事会(FRB)は資産縮小を決定したが、市場との丁寧な「対話」で織り込みが進んでいたため、今のところマーケットに波風は立っていない。写真はワシントンで昨年10月撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

米連邦準備理事会(FRB)は資産縮小を決定したが、市場との丁寧な「対話」で織り込みが進んでいたため、今のところマーケットに波風は立っていない。しかし、世界の債務は1京8000兆円に達し、実体経済よりも高い伸び率を示すなどマネーは急膨張している。金融相場を主導してきた政策の転換だけに、長期的な影響は軽視できない。

GDP上回る債務増大

国際決済銀行(BIS)のデータによると、政府と民間を合わせた世界全体の債務は2016年末時点で159兆6070億ドル(約1京8000兆円)。10年間で62兆ドル(約7000兆円)増加した。増加率は63%と同期間の世界の国内総生産(GDP、2016年で75兆ドル、世銀)の伸び率47%を上回る。

債務膨張の大きな要因は金融緩和だ。08年のリーマン・ショック後、世界の主要中央銀行は非伝統的な金融緩和策にかじを切った。FRBは量的緩和策(QE)を3回にわたり実施。欧州中央銀行(ECB)と日銀もQEを実施するなど、先進国は政府部門の債務が大きく膨張しているのが特徴だ。

FRBの資産は、08年時点の約9000億ドルから約4兆5000億ドル(約500兆円)と5倍に増大している。縮小のペースは当初100億ドルずつと極めて緩やかであるほか、資産規模も元に戻すのではなく、経済の拡大なども視野に入れ、2兆ドル程度に着地させるのではないかとの見方が有力だ。

とはいえ、FRBはこれまでに利上げを4回実施してきたが、資産の縮小は20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)まで見送ってきた。「過去に例のない大規模な緩和策であり、縮小すれば何が起きるかわからない」(三菱東京UFJ銀行・シニアマーケットエコノミスト、鈴木敏之氏)からだとみられている。

株式や不動産にマネー流入

米株は史上最高値を連日更新。S&P500<.SPX>の予想PER(株価収益率)は歴史的にみて15倍程度が平均だが、現在は17倍後半。ITバブル時の28倍には及ばないが、割高感は強くなっている。

「PERの上方シフトは、世界的な低インフレ化など他の要因も考えられるが、タイミング的にFRBのQE3開始と一致する。資産縮小でどのような影響が出るか警戒が必要だ」(T&Dアセットマネジメント・チーフエコノミスト、神谷尚志氏)という。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英国債市場、イラン攻撃後の市場混乱でも正常に機能=

ビジネス

英中銀、銀行破綻処理計画の策定義務を緩和

ワールド

ベラルーシ大統領、北朝鮮と友好協力条約締結 「新た

ビジネス

OECD、26年の英成長率予想を大幅下方修正 イン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 2
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    「有事の金」が下がる逆説 イラン戦争で市場に何が…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 7
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 8
    地上侵攻もありえる...イラン戦争が今後たどり得る「…
  • 9
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 9
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中