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アメリカの「政府機関閉鎖」と「債務上限問題」の基礎知識

2017年8月24日(木)10時50分


<歳出予算案と債務上限の関係>

2つは本来別々に審議されるが、今回はセットで取り上げられる公算が大きい。共和党の債務上限引き上げ反対派が、歳出予算の削減を要求しそうだからだ。一部のアナリストは、議会が両方の問題に同時に対応しようとする可能性があると話した。

<政治情勢は>

歳出予算法案と債務上限引き上げ法案について、下院では単純な過半数で可決が可能。しかし上院では60人の賛成が必要となり、52議席しか持たない共和党は、民主党の一部の支持を得なければならない。

そこで問題となるのがメキシコ国境の壁建設だ。下院の共和党保守派は壁建設の必要を訴えるトランプ氏に共鳴し、関連予算をどの歳出法案でも優先すべきだと主張。一部からは、この予算獲得のためなら進んで政府機関を閉鎖しようとの声も出ている。

一方、共和党穏健派は政府機関閉鎖を好ましくないと考え、党指導部も、同党の統治能力への不信を増幅させかねないとして政府機関閉鎖を回避することを決意している。

民主党は一致団結して国境の壁建設に反対の姿勢で、政府機関が閉鎖されればその責任はひとえに共和党にあるとけん制する。

トランプ政権は今月に入って方針を転換し、債務上限引き上げ問題を他の政策措置と絡めず取り組んでいくやり方(クリーン・ビル)を支持した。民主党と共和党の穏健派もこれを支持する。しかし共和党保守派、特に下院はしばしば債務上限引き上げ法案を「人質」にして、歳出予算案の修正を主張する傾向があり、クリーン・ビルに異を唱えている。

[23日 ロイター]


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