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嘘だらけの劉暁波の病状に関する中共プロパガンダ

2017年7月4日(火)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

劉暁波の顔の表情から見て、これは2008年12月に 「零八憲章」の起草者として拘束され、2009年6月に 「国家政権転覆扇動罪」などの容疑で北京市公安局に正式に逮捕された直後くらいの時期のものだと教えてくれた。

これは中共がよくやる手口で、2020年6月に刑期を終えて出獄したときに、継続して言論活動ができないように命を終える準備をさせ、しかし「当局は十分に手厚い治療を行なった証拠を残すための、中共の常套手段だ」と、強い言葉で中国共産党の周到な残虐性を非難した。

海外の医者による治療を拒否した中国

獄外治療を許された劉暁波たちは、夫妻ともに海外で治療を受けられるように当局に申請した。海外への渡航は中国政府が拒否したが、劉暁波側には「それだけの体力がないから駄目だ」と病院側が告げたので、関係者が「このように座ることもできるので海外渡航は可能だ」ということを示す意味で、病院で椅子に座って食事を与えてもらっている写真を隠し撮りして投稿したのだという。一瞬だけ、そういう姿勢を取ってもらったそうだ。

筆者のところには「ドイツやEUあるいはアメリカは自国で治療を引き受けるとオファーを出してくれているのに、最も近い日本からは、そのようなオファーが来てない」という嘆きが届いていた。まだ中国政府が、正式に海外治療を拒否するという声明を出す前のことである。日本政府は「人権」というものに対して、それを守らなければならないという正義感が弱いと残念がっていた。

次の段階として、瀋陽の病院側は「海外の医者が瀋陽の病院に来てくれて治療に当たってくれるのなら、それは拒まない」と言っているという情報が入った。

そこで筆者は緊急に、日本社会に「どなたか治療に行ってくれる専門医はいないか」とい呼び掛ける発信をしようと準備していた。その発信をする前に、また人権派弁護士等、関係者からメールが来た。中国政府が、それも拒否したという情報だった。

理由としては海外の医者は中国における医療行為を行なう資格を持っていないというものだったが、それは全く矛盾しており、それまでは地震など他の災害時における海外の医者を受け入れてきたではないかと、関係者は怒っている。

中国当局が流させた病院における家族への説明動画

そこで中国当局は、劉暁波氏の家族に、海外の医療団を受け入れなければならないほど、治療に困っておらず、劉暁波氏自身は非常に満足しているということを表明する映像をネットに流した。それが「これ」だ。

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