最新記事

アメリカ社会

【写真特集】ゆがんだ輝きを放つアメリカンドリーム

2017年5月31日(水)17時00分
Photographs by Lauren Greenfield

<プリンセス願望>ガラスの馬車でディズニーワールドの結婚式場に向かうクリスティーナは普段は調剤技師として働いている(13年)

<経済格差がますます広がるアメリカでは今、アメリカンドリームは非現実的な夢に。その穴埋めとして、身の丈を超えたゆがんだセレブ的ライフスタイルが新たな文化になっている>

きらびやかな衣装に高級ホテルのプール、さらにはプライベートジェットまで。写真家で映画監督のローレン・グリーンフィールドは25年にわたり、華やかであると同時に物欲まみれの現代アメリカの姿を写真やドキュメンタリー映像に収めてきた。

被写体となるのは巨万の富を手に入れたスーパー富裕層ばかりではない。グリーンフィールドが映し出すのは豊かさを夢見て、成功を収める前から将来の富を前借りしたような生活を送る人々の姿だ。

今やアメリカ人にとって、アメリカンドリームは非現実的な「夢」。経済格差はますます拡大し、社会的な階層は固定化され、それを是正するための政治もひと握りの超富裕層の思惑に左右されるようになった。

【参考記事】なぜか再びアメリカで銀行がつぶれ始めた

そうした隙間を埋め、豊かさに憧れる人々の欲求を満たす方法として、身の丈を超えた物欲に振り回されるゆがんだセレブ的ライフスタイルが新たな文化として広がっている。

一部には、その特異なライフスタイルが注目を浴び、本物のセレブにのし上がる者もいる。だが前借りしたはかない「夢」を清算できなかった者を待つのは、冷酷な現実だ。

Photographs from "Generation Wealth" (Phaidon) ©Lauren Greenfield-Institute

*掲載作品は新刊写真集『ジェネレーション・ウェルス』(英ファイドン社刊)からの抜粋

ppdream02.jpg

数々の美少女コンテストで優勝してリアリティー番組のスターとなった6歳のエデン・ウッド(11年)


ppdream03.jpg

ロサンゼルス郡のシニア美女コンテストで優勝した72歳のジャッキー・ゴールドバーグは「ピンクレディー」の異名で知
られる(05年)


ppdream04.jpg

<セレブという宗教>セックステープが流出するなど私生活が注目され「有名であることで有名」な存在だったキム・カーダシアン。その後、チャンスを生かして本物のセレブに仲間入りした(09年)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中