最新記事

ワークプレイス

「エゴを持たない」食材宅配サービスのスタートアップ

2017年5月26日(金)12時40分
WORKSIGHT

同じくキッチンスペース。正月に向けた新しいレシピを開発するための会議が行われている。壁の「HAPPY NEW YEAR」は、正月の雰囲気を出すために飾り付けられたもの。 WORKSIGHT

<ベルリンで注目を集める「HelloFresh」は、レシピ付きの食材宅配サービスを運営する新興企業。年率400%で成長を遂げているが、拡大に伴い、人事面の課題に直面した。世界中の優秀な人材を引き付けるためにとった戦略とは>

食材宅配サービスを展開するスタートアップ[HelloFresh]


[課題]  急拡大する中でも企業カルチャーをすみずみまで浸透させたい
[施策] 新たに入社する人材にとってなじみやすい環境を作る
[成果] 優秀な人材が世界中から集まり、年率400%の成長を続ける

ドイツ、ベルリンで昨今、注目を集めている企業がある。レシピ付きの食材宅配サービスを運営するHelloFreshだ。特定のレシピに合わせた食材、調味料を必要なだけの分量で宅配するサービスで、買い物をする時間や献立を考える時間の取れない人を中心に人気を集めている。

【参考記事】自宅の「壁」で有機野菜を育てられるインテリア

年率にして400%もの成長を遂げている同社。2015年5月時点でベルリンにいる社員が60名だったのが現在では250名に増え、世界では合計1500人が働くなど急拡大中だ。これだけの勢いで企業が大きくなれば、それまでは気にならなかったことが問題になることもある。HelloFreshもやはり、人事面の課題に直面した。

2015年からグローバル人事担当責任者として入社したジュリアン・ラーケン氏(以下、ラーケン氏)はこのように語る。「いまは3つの点を強化すべく、人事戦略を立てています。人材の獲得と採用、勤怠管理や給与面などの総務面、社員のエンゲージメントです。現在は7カ国に拠点があり、採用は基本的に各地に任せていますが、特に重要なポジションは本社でもサポートしています。これはあくまで個人的な意見ですが、能動的に行動できる、そのポジションのエキスパートを採用するようにしていますね」

「HelloFreshのカルチャーにフィットするかどうか」を重視

人事部門においてラーケン氏を支えるフレヤ・エレン・ステファン氏(以下、ステファン氏)は、さらにこう付け加える。「現在では40以上の国籍の社員がいますから、HelloFreshで一緒に働くためには私たちのカルチャーにフィットするかどうかも重要です。他者を大切にし、チームワークを大事にする。私たちは『エゴを持たない』という言い方をしています」

「カルチャーを大切にする」との言葉の通り、HelloFreshではユニークな取り組みが行われている。例えば、新入社員は入社初日から社員全員に温かく迎えられる。出社すると、デスクの上には小さなギフトボックスが置いてあり、そこにはHelloFreshのエプロンが入っているのだという。「初日はずっと、そのエプロンをつけてもらいます。そうすると『ああ、あの人が新入社員か』とわかって、周囲も話しやすくなりますよね」(ラーケン氏)

「隔週の金曜には、ハングリーフライデーというイベントがあり、そこではランチを食べながら会社の最新情報を共有したり、新入社員を紹介したりします。自己紹介の際には『One Fun Fact』といって、自分に関するおもしろい点を話してもらうようにしています。『自分を野菜にたとえたら』というテーマでも話してもらいますが、お互いを知るのに有効な手段だと思いますよ」

wsHellofresh170526-1.jpg

(左写真)人事部門の責任者であるジュリアン・ラーケン氏(右)と、同じく人事部門のフレヤ・エレン・ステファン氏(左)(右写真)HelloFresh外観。

wsHellofresh170526-2.jpg

HelloFreshの心臓部とも言える、キッチンスペース。社員間のコミュニケーションも多く、同社にとって重要なスペースである。

【参考記事】5割の社員がオフィスにこない、働き方満足度No.1企業

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪GDP、第2四半期は前年比+1.8%に加速 約2

ビジネス

午前の日経平均は反落、連休明けの米株安引き継ぐ 円

ワールド

スウェーデンのクラーナ、米IPOで最大12億700

ワールド

西側国家のパレスチナ国家承認、「2国家解決」に道=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中