最新記事

トランプと習近平の「蜜月」 アジア各国は「米中G2」を疑心暗鬼

2017年5月3日(水)10時46分

4月28日、トランプ米大統領(左)が中国の習近平国家主席(右)を「良い人だ」と温かく評価したことは、中国政府を安心させるだろう。

トランプ米大統領が中国の習近平国家主席を「良い人だ」と温かく評価したことは、大統領がようやく良好な米中関係の重要さを認識したものだと、中国政府を安心させるだろう。

だが、一方でアジアの同盟国からは、それぞれが新しい秩序のどこに置かれるのかと、当惑を招くリスクもある。

米中首脳が築く新たな関係は、トランプ氏が昨年の大統領選挙中に、中国は不公平な貿易政策で米国の雇用を奪っていると非難していたころには、あり得ないと思われていた。

大統領選に勝利したトランプ氏は昨年12月、中国が自国の領土だと主張する台湾の蔡英文総統からの電話を受けて、外交儀礼をひっくり返した。

数カ月後の4月初旬、習主席とフロリダ州にある自身の別荘で会談したトランプ大統領は、その後180度意見を変えた様子で、習主席に対して核武装する北朝鮮を制御しようと努力していると称賛する一方で、再び電話会議を開こうとする台湾総統からの提案をはねつけた。

だが大きな疑問は、こうした急接近が続くかどうかだ。トランプ大統領は、昨年の選挙期間中にロシアのプーチン大統領に対する尊敬を口にしていたが、両者の関係はその後、冷却化した。

トランプ氏側からの接近を、中国政府高官らは疑いなく喜ぶだろう、と北京大学国際関係学院院長で政府の外交アドバイザーを務める賈慶国氏は指摘する。

「トランプ政権で唯一確かなことは、不確実性と予測不能性だと言われている。だが、これまでの発言や行動から判断する限り、中国関係についてはかなり安心できる。中国では、トランプ政権についてより好意的な印象を抱くようになっているし、両国が建設的に協力できるという期待も高い」と同氏は語る。

中国の周辺国にとっては、状況はもう少し複雑だ。

ある一面を見れば、世界の2大経済大国が健全な関係を築くことは、全ての国の利益にかなう。

「両国の対話がそこそこ建設的な始まりを見たことは、極めてポジティブなことだ」と、インドネシアのジョコ大統領の側近で投資調整庁のレンボン長官は、ロイターに語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレリスクは上振れ、小幅下振れ容認可能=シュナ

ビジネス

エネルギー貯蔵、「ブームサイクル」突入も AI需要

ワールド

英保健相、スターマー首相降ろし否定 英国債・ポンド

ビジネス

ロシア、初の人民元建て国内債を12月発行 企業保有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 7
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 10
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中