最新記事

安全

気候変動で飛行機が揺れやすくなる! 英研究者が発表

2017年4月21日(金)14時00分
松岡由希子

MarquesPhotography-iStock

<英レディング大学の研究者は、「大気中の二酸化炭素濃度の上昇により、エアポケットが2倍以上に増える」という研究結果を発表した>

フライトの最中に突然、機内が激しく揺れ、不安を感じたり、気分が悪くなったりした経験はないだろうか。その原因のひとつが、エアポケットと呼ばれる晴天乱気流(CAT)。雲のない晴天の高高度で起こる予測困難な乱気流で、肉眼やレーダーでも確認しづらいため、これを回避することは難しい。

航空業界では、その強度を三段階で分類しており、やや動揺を感じるが腰が浮くほどではないものを"弱"、機内での歩行が困難で固定されていない物体が移動する程度のものを"並"、固定されていない物体がはね回るほどのものを"強"と定めている。

エアポケットが2倍以上に増える

英レディング大学のポール・ウィリアムズ准教授は、2017年4月、科学雑誌『Advances in Atmospheric Sciences』において、「大気中の二酸化炭素濃度の上昇により、"並から強"もしくは"強"に分類されるエアポケットが2倍以上に増える」との研究結果を公表した。

ウィリアム准教授は、すでに、2013年の研究論文で「大気中の二酸化炭素濃度が二倍になると、エアポケットが増える」ことを明らかにしている。気候変動により、水平または垂直方向に風速または風向の差がある状態、すなわちウインドシアが強まるとみられるためだ。

コンピューターシミュレーションを実施

今回の研究では、大気中の二酸化炭素濃度が二倍となった場合、冬シーズンの北大西洋上空12キロメートルにおいて、エアポケットがどのように変化するのか、コンピューターシミュレーションを実施。これによると、エアポケットは、その強度によって、"弱"が59%、"弱から並"が75%、"並"が94%、"並から強"が127%、"強"が149%、それぞれ増加するとの結果が出た。

ウィリアム准教授は、今後、他の航空路でも同様のシミュレーションの実施を検討しているほか、高度や季節によるエアポケットの変化についても明らかにしていく方針だ。

気候変動によって、異常気象や自然災害が増加し、水の循環や分布、生物多様性などに悪影響が及ぶことが懸念されている。気候変動は、これらに加えて、私たちが国や地域間を移動するために不可欠なフライトにも好ましからざる影響を及ぼしつつあるようだ。GWで飛行機利用の機会も増えるこの時期、シートベルトの着用に気をつけたい。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:戦闘で労働力不足悪化のロシア、インドに照

ワールド

アングル:フロリダよりパリのディズニーへ、カナダ人

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米CPI受け 円は週間で

ビジネス

米国株式市場=3指数が週間で下落、AI巡る懸念継続
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    機内の通路を這い回る男性客...閉ざされた空間での「…
  • 9
    中国の砂漠で発見された謎の物体、その正体は「ミサ…
  • 10
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベル…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中