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インドの性犯罪者が野放しになる訳

2017年4月11日(火)11時20分
ジェーソン・オーバードーフ

登録システムが自警団による私刑を招くと懸念する向きもある。ラストーギの場合、今回の逮捕の前に、被害者の父親たちから少なくとも2回、殴打される事件が起こっている。「司法プロセスを改善することなく登録制度だけを進めれば、危険な結果を招く」と、心理学者ラジャト・ミトラは言う。

それでも、性犯罪が特に都市部で感染症のように蔓延し、多数の都市移住者の子供が危険にさらされているとの認識が広がるにつれ、ガンジーへの支持も高まっている。インドでは毎日200人近い子供が主に都市部で行方不明になり、発見されずにいる。政府統計によれば、行方不明のまま発見されない子供は13~15年で3万4244人から6万2988人に増加した。

ラストーギは都心で、簡単にターゲットを見つけられたようだ。彼は住んでいるルドラプールから、首都圏で少女を物色するために片道240キロの距離を電車で通っていたという。「(性犯罪者は)都市部に出ると匿名性を感じられる」と、ミトラは言う。「法制度はお粗末で、罪を逃れられると感じられる」

残念ながら今のインドでは、性犯罪者の側に圧倒的に分があるようだ。

[2017年4月11日号掲載]

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