最新記事

インタビュー

実績32億円以上、行政の資金調達も担うクラウドファンディングReadyfor

[米良はるか]READYFOR株式会社 代表取締役

2017年4月27日(木)19時21分
WORKSIGHT

Photo: WORKSIGHT

<日本初のクラウドファンディングとして2011年3月にサービスを開始したReadyfor。順調に拡大を続け、2016年にはソーシャルなプロジェクトも増加。代表取締役の米良はるか氏が同社を創業したのは大学院1年生のときだった>

Readyfor(レディフォー)は日本初のクラウドファンディングとして2011年3月にサービスを開始しました。

プロジェクト(掲載案件)を企画・実践する「実行者」がReadyforのサイトにアイデアを掲載し、賛同する「支援者」が資金を提供します。目標金額に達成すると実行者は支援者に対して、商品やイベント参加の権利など金銭以外のものでお返しをするという、購入型クラウドファンディングで出発しました。2015年12月には寄付型クラウドファンディングも開始しています。

購入型・寄付型のいずれも掲載料は無料で、弊社はキュレーターという担当者をプロジェクトごとに配して、相談に乗るなどのバックアップを行います。支援金が目標に達した場合のみ、手数料17パーセントを受け取る仕組みです。

これまでに掲載したプロジェクトは5,500件以上。支援金は日本最多の22万人から32億円以上を集めるなど、おかげさまで順調に拡大を続けています。

社会的にインパクトの大きなチャレンジが増えた2016年

2016年を振り返ると、いくつかのトレンドが浮かんできます。1つは、まちづくりや災害復興支援、地域文化の活性化など、ソーシャルなプロジェクトが増えたこと。世の中をよりよくするようなプロジェクトは以前からよく掲載されていましたけど、2016年は特に増えた印象です。

もう1つは支援金の規模が2015年より格段に大きくなったことです。月に1、2件は1,000万円を超えるプロジェクトが成立していますが、2016年は例えば5万円台のレーザー加工機「FABOOL Laser Mini」の販売プロジェクトに6,000万円、下関の施設「ウズハウス」をリノベーションして地域活性化を促すプロジェクトに4,400万円が集まるという具合に、より大きな額の支援が成立しました。

個人のチャレンジだけでなく、社会的にインパクトの大きなチャレンジが増えたことの表れです。資金調達の手段として、より幅広い方々に認知してもらえるようになったことは率直にうれしいですね。

税金だけに頼らない、多様化する公共機関の資金調達手法

また、実行者として利用してくれる組織のすそ野も広がりました。2015年までは個人やグループ、小規模団体のプロジェクトが多かったのですが、2016年は例えば国立科学博物館や大学、自治体なども実行者として名前を連ねています。

国立科学博物館のプロジェクト* は、日本人のルーツを探ることを目的に3万年前の航海を再現しようとするものです。2,600万円の支援金を集め、「READYFOR OF THE YEAR 2016」のコミュニケーションアイデア賞を受賞しました。

自治体の案件では、震災で全壊した岩手県久慈市の水族館「もぐらんぴあ」の復活プロジェクト** や、宮城県とReadyforのコラボレーションで、宮城の農業を応援する「みやぎ 食と農のクラウドファンディング」*** も立ち上がっています。

【参考記事】「ホームレス」を生み出さない社会を目指して

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

クックFRB理事の後任候補、すでに選定中=トランプ

ビジネス

米8月CB消費者信頼感指数97.4に低下、雇用・所

ビジネス

アップル、9月9日に秋のイベント 超薄型iPhon

ワールド

クックFRB理事、トランプ氏による解任巡り提訴へ 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 7
    「ありがとう」は、なぜ便利な日本語なのか?...「言…
  • 8
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中