最新記事

THAAD

THAAD配備へ中国が「韓国叩き」 次なる標的は米国か

2017年3月8日(水)13時38分

ロッテグループの子会社、ロッテ・デューティーフリーは2日、中国からとみられるサイバー攻撃を受けたと発表した。

「現在、韓国企業に起こっていることは、米国企業に今後1年間に起きるであろう問題についての、非常に有効な作戦計画書となる」。リスク管理コンサルタント会社コントロールリスクスで中国と北アジア担当の分析ディレクターを務めるアンドリュー・ギルホーム氏はそう語る。

「トランプ政権下では、大規模でドラマチックな貿易戦争の発生によって、何もかもが悪化するというシナリオよりも、企業に対する規制面での嫌がらせという形で問題が表面化する可能性の方が高いのではないか。中国にとってはそれほど強烈ではない対抗手段の1つだ」

韓国の株式市場は3日急落し、化粧品大手のアモーレパシフィック(090430.KS)、現代自動車、格安航空のチェジュ航空(089590.KS)、大韓航空(003490.KS)、アシアナ航空(020560.KS)が打撃を受けた。

政治的圧力

韓国との取引を縮小・中止するという政治的圧力を感じているとの声が一部の中国企業から聞こえてくる。韓国メディア報道によれば、中国当局は北京の旅行会社に、韓国向けのツアーの販売を中止するよう命じたという。

中青旅(CYTS)(600138.SS)など、ロイターが取材した中国の旅行会社大手3社は、韓国向けツアーの提供を続けていると話している。だが途牛(TOUR.O)の顧客サービス担当者によれば、THAADをめぐる対立が原因で、同社は韓国向けツアーの提供をすでに中止しているという。途牛にコメントを求めたが回答は得られなかった。

またロッテは、外交面での緊張が原因であると明言してはいないものの、大手電子商取引サイトの京東商城(JDドット・コム)(JD.O)上で、同社製品の検索ができなくなっていると述べている。京東商城はコメントしなかった。

中国小売サイト、聚美(Jumei)の最高経営責任者(CEO)は、短文投稿サイトの公式アカウントで、今後はロッテ製品を販売しないと述べている。ロイターは同社にコメントを求めたが回答は得られなかった。

「一部の小売企業は、政治的プレッシャーの結果として、ここ1週間でロッテ製品の販売を中止している」。中国小売業界の上級幹部は、匿名を条件にそう語った。

中国共産党の青年組織である中国共産主義青年団も、中央と地方レベルの双方で、自動車、化粧品、エレクトロニクス製品を買わないよう消費者に呼び掛けて、対立を煽っている。

共産主義青年団の全国組織は、短文投稿サイトの公式アカウントで「私たちはロッテに『ノー』と言う」と投稿している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

AI端半導体「ブラックウェル」対中販売、技術進化な

ワールド

チェイニー元米副大統領が死去、84歳 イラク侵攻主

ビジネス

リーブス英財務相、広範な増税示唆 緊縮財政は回避へ

ワールド

プーチン氏、レアアース採掘計画と中朝国境の物流施設
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 4
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中