最新記事

日本企業

セブンプレミアムが「生鮮PB」を始めた理由

2017年3月14日(火)10時53分
又吉龍吾(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

一流メーカーもセブンプレミアムに続々参画

セブンプレミアムの販売が開始されたのは2007年5月のこと。当初は食品49品目でスタートした。初年度の売り上げは800億円。それが10年経った2016年度には3650品目となり、売上高は1兆1500億円にまで膨らんだ。

コンビニの店舗数拡大の効果も大きいが、メーカーとの強固な関係もセブンプレミアムの躍進に寄与している。10年前は中堅メーカーが製造を請け負う場合が多かったが、近年は日本ハムやサントリー、日清食品グループといった大手メーカーも開発に加わっている。

たとえば、日本ハムが製造する「金のハンバーグ」は2010年9月に発売してからヒットが続く。2016年度は930万食、金額にして30億円相当を売り上げた。4月中旬には7度目のリニューアル商品が発売される。

toyokeizai170314-2.jpg

金色のパッケージが目立つ「セブンプレミアム ゴールド」。こちらの商品も刷新していく(撮影:梅谷秀司)

日本ハムは今回の刷新に合わせて製造設備の入れ替えに踏み切った。これまでは130℃で焼き上げていたが、200℃の高温鉄板焼機に変えたことで、うまみを逃がさない製法を実現したという。こうした改善の繰り返しが、セブンプレミアムの原動力となっているわけだ。

2019年度、売上高1兆5000億円が目標

メーカーの中にはこうしたPBの受託拡大を躊躇する企業もある。商品によっては採算が低下するうえ、自社商品と競合する可能性があるからだ。だが、コンビニの場合、1カテゴリーで1商品しか陳列されないケースもある。PBを供給できないと、成長市場において販路を失うことにもなりかねない。そうした事情もあり、セブンと組みたがるメーカーは後を絶たない。

今後、セブンプレミアムが狙うのは海外市場だ。2016年7月にはシンガポール(約360店)に、2017年2月には中国・北京(290店)で菓子類20品目のテスト販売を実施した。日本から商品を輸出したことで、売値は日本の倍になったが、日本以上の売れ行きだったという。2017年度中には中国(北京以外)にも拡大し、2000店での展開を目指す。

グループ全体では2019年度にセブンプレミアムの売上高を1兆5000億円、4200品目という目標を掲げる。井阪社長は「単に品目数を増やすだけではなく、何度も購入していただける商品作りを目指す」と述べる。メーカーとのさらなる連携強化や、生鮮品といった新カテゴリーの成否が目標達成のカギになるだろう。

toyokeizai170314-3.jpg

セブンプレミアムはグループを横断する看板商品。井阪社長(写真中央)は会見後、笑顔で記者の質問に答えていた(撮影:梅谷秀司)

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 8
    三船敏郎から岡田准一へ――「デスゲーム」にまで宿る…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中