最新記事

サウジアラビア

サウジ国王御一行様、インドネシアの「特需」は70億ドル超

2017年3月14日(火)11時53分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

首相官邸で日本とサウジの両国が経済協力を進める覚書に署名したサルマン国王 Tomohiro Ohsumi-REUTERS

<インドネシア訪問では70億ドル超の投資を約束し、日本入りしたサウジアラビアのサルマン国王。日本でも「サウジ特需」への期待が高まっているが...>

来日前から、各国のメディアはその経済効果に期待を寄せる報道で盛り上がっている。サルマン国王は、日本の前にインドネシアを訪れたが、ジョコ・ウィドド大統領を筆頭に国を挙げての歓迎で、消費だけでなく経済協力の面でも大きな収穫があったと言えそうだ。

【参考記事】ソフトバンクと提携したサウジ副皇太子が握る王国の未来

ハイヤー代は3億円!?

サウジアラビア国王がインドネシアを訪問したのは、1971年のファイサル国王以来、46年ぶり。1日付け英メール紙によれば、国王は250億ドル相当の新規投資を約束するとされ、来訪が決定してからは、景気が低迷するインドネシアの期待をさらにかきたてた。

帯同したのは王子19人、閣僚7人、企業幹部、これに加え多数の関係者を合わせた帯同者はおよそ1500人。英メール紙によれば、一行は高級リムジン2台や国王の飛行機の乗り降りに使う専用エスカレーターなど、460トン分の荷物を持ち込んだ。

15機の飛行機で到着したサルマン国王らは車に乗り込み、インドネシア大統領宮殿での歓迎会に向かった。このときの車列は全長4キロメートルに達したという。日本で使うハイヤーの台数は500台と報じられたが、インドネシアでは720台の高級車を400億ルピア(約3億4000万円)で借りた。

裸の像はNG

世界最大のイスラム人口を抱えるインドネシア。イスラム教スンニ派の総本山ともいえるサウジアラビアのトップを迎えるにあたり9000人態勢の警備を敷き、細心の注意を払った。ジョコ大統領が自ら他国の首脳を空港で出迎えたのは初めて。現地紙によると、歓待の宴が開かれたインドネシア大統領宮殿にある裸の男女像は宗教上の配慮から覆い隠されたという。

インドネシアは国を挙げてのおもてなしを展開した。サルマン国王の滞在期間中には「Love letter for King Salman(サルマン国王へのラブレター)」をツイッターに投稿するためのハッシュタグ「#JusticeForRusmini」を立ち上げて、現地紙がそのメッセージを掲載して紹介。インスタグラムでは「#KingSalman」のハッシュタグとサルマン国王とツーショットの合成写真の投稿が複数見られた。

Gak sengaja ketemu ??(2) #kingsalman #rajasalman #arabsaudi #indonesia

Fanni Ahmad Alfarisiさん(@fanniconix)がシェアした投稿 -

サルマン国王一行は今月4~12日の日程でバリ島に滞在。ここでも政府が最大限の歓迎ぶりを示した。空港管理局によると、島内に1カ所しかないテンパサール空港を夜間2時間にわたって閉鎖し、破格の待遇で対応した。

国を挙げての歓待は最終日まで続いた。12日付けのジャカルタ・ポストは、ジョコ大統領自らサルマン国王に電話を掛け、別れの挨拶と二国間の合意事項の推進を強調したと報じた。


成果は約70億ドル超

サウジアラビア政府は、製油所拡張に60億ドルの投資と、10億ドルの投資ファンド設立で合意したほか、事業規模24億ドルの覚書4件に両者が署名した。これに加え、ジャカルタ・ポストは7日付けで、インドネシア政府が国内の製油所3カ所への投資を持ちかけたと報じている。金額は明らかになっていないが、一連の投資案件がすんなりと合意したことからも、見通しは明るいようだ。9日には、インドネシアとサウジアラビア両国を行き来する2路線を増やすことで合意したことが明らかになった。

【参考記事】大胆で危険なサウジの経済改革

サウジアラビアは13日、石油生産に依存した政策からの脱却を目指し、経済改革の協力について安倍晋三首相と協議し、両国の関係を強化していくことで合意した。しかし世間の関心は、「御一行様はどこに現れるのか」。インドネシアに続く日本での「サウジ特需」に注目が集まっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国の乗用車販売、11月は前年比-8.5% 10カ

ビジネス

独10月鉱工業生産、予想上回る 景気回復はなお遠く

ビジネス

ユーロ圏投資家心理、12月は小幅上昇 ドイツは悪化

ワールド

中国の25年石炭需要、8年ぶり減少へ 来年は増加も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中