最新記事

慰安婦問題

長嶺大使帰国から1か月 釜山少女像問題は解決するか?

2017年2月9日(木)06時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

この1カ月間、日本国内の各種世論調査では、日本政府の措置を支持するという回答が70%を超え、安倍政権の支持率も上昇した。安倍首相は「韓国側が動かない限り、大使は戻らない」と周辺に語っているという。

また岸田外相も7日の記者会見で、長嶺大使の帰任時期について「諸般の状況を総合的に検討し判断する」と述べるに留まり、また、「韓国政府に粘り強く日韓政府間の慰安婦問題の合意の履行を訴えていく」と韓国側に少女像の撤去を求めた。

なぜ韓国政府は動かないのか?

ここまで日本側がいらだっているのに対してなぜ韓国政府は手を打たないのだろうか? 一番の問題は朴槿惠(以下、パク・クネ)大統領が弾劾決議を受け、事実上、国政のトップが不在となっていることにある。ファン・ギョアン首相が大統領権限代行として実務に当たっているものの、あくまで暫定の代行ということで、国内外の懸案事項について強力なリーダーシップを打ち出せない状態が続いている。

また、パク・クネ大当郎の弾劾が成立すれば早ければ4月下旬にも新大統領を選ぶ選挙が行われる予定で、ファン権限代行としても慰安婦という国民の神経を逆なでする問題をあえて今触れたくはないという思惑もある。また、なにより一番大きな問題は、釜山の少女像はあくまで、釜山市東区という地方自治体の管轄する場所に、民間団体が設置しているということがある。このため韓国政府側としては、「民間でしていることなので、政府が関与するのは難しい」という基本的な立場をこれまで維持してきている。

少女像設置に反対するデモも

一方で、日本領事館前の少女像については、これを撤去せよという
市民が1月末から少女像の周囲に抗議ビラを貼るなどの活動を行いはじめて、少女像を設置した市民団体との間で火花を散らしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで

ワールド

イスラエル、米兵器使用で国際法違反の疑い 米政権が

ワールド

北朝鮮の金総書記、ロケット砲試射視察 今年から配備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア軍の上陸艇を撃破...夜間攻撃の一部始終

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    「終わりよければ全てよし」...日本の「締めくくりの…

  • 6

    「未来の女王」ベルギー・エリザベート王女がハーバー…

  • 7

    横から見れば裸...英歌手のメットガラ衣装に「カーテ…

  • 8

    「私は妊娠した」ヤリたいだけの男もたくさんいる「…

  • 9

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 8

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 9

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中