最新記事

アメリカ政治

難民・移民の入国を制限する大統領令、与党共和党からも批判

2017年1月30日(月)13時32分

1月29日、トランプ米大統領が発した難民やイスラム教徒の多い中東・アフリカ7カ国から市民入国を禁止する大統領令について、民主党だけでなく共和党からも非難の声が出ている。写真はボブ・コーカー米上院外交委員会委員長。ワシントンで11日撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

 トランプ米大統領が発した難民やイスラム教徒の多い中東・アフリカ7カ国から市民入国を禁止する大統領令について、民主党だけでなく共和党からも非難の声が出ている。

 トランプ大統領の支持者である米上院外交委員会のボブ・コーカー委員長は、今回の大統領令はグリーンカード(永住権)保持者を中心に不利益を及ぼすと発言。「政権は直ちに、大統領令の適切な修正を行うべきだ。国家安全保障の完全な見直しと強化を経て、これらのプログラムの多くが改善され再び発令されることが私の望みだ」と話した。

 これに対し、トランプ大統領は声明で「メディアは誤った報道をしているが、(入国管理令は)イスラム教徒の入国禁止ではないことを明確にする」と主張。「宗教ではなく、テロに対応し、わが国を安全にするためだ。イスラム教徒が過半数を占める国の40以上が影響を受けていない」と指摘した。その上で「今後90日間で安全に向け最善の政策を実施したと判断した国には、ビザを再び発給する」と述べた。

 プリーバス大統領首席補佐官はNBCテレビで、グリーンカード保持者であれば7カ国からでも米国への再入国が可能だと説明。「今後数カ月以内にプログラムが修正されるまでは」、再入国時に税関・国境警備局(CBP)から「より詳細な質問」を受けることになると述べた。

 さらに首席補佐官は、CBP職員は特定の国々から「不審な企みを持つ」ことが疑われる人物が到着した際、裁量権を有すると述べた。入国制限の対象にサウジアラビア、アフガニスタン、パキスタン、エジプトが入っていない理由については「おそらく、いずれは他国も大統領令に追加される必要がある」と話した。

 大統領の外交政策に反対を唱えてきた共和党のマケイン上院議員とグラハム上院議員は、共同で声明を発表。大統領令は安全保障の強化より、テロリストの人材採用につながるだろうと批判した。「大統領令によって最終的に、テロリズムとの闘いにおいて自分で自分の首を絞めることになるのではないかと懸念する」とし、米国は「グリーンカード保持者が自分の国だと呼んでいる国へ戻る」ことを妨げるべきではないと主張した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米マースのケラノバ買収、EUが競争法上の正式調査へ

ワールド

ウクライナ紛争、トランプ政権下なら起こらなかったと

ワールド

ブラジル中銀、0.25%利上げ 19年ぶり高水準の

ワールド

米在外公館が留学生ビザ申請受け付け再開、SNS活動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 2
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 7
    下品すぎる...法廷に現れた「胸元に視線集中」の過激…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 10
    電光石火でイラン上空の制空権を奪取! 装備と戦略…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 6
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 7
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 8
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中