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米台「首脳」会談が刺激する中国の真の怒り

2016年12月15日(木)18時00分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌エディター)

 私は中国で暮らして13年になるが、台湾には自分の未来を決める権利があると考えている本土の中国人には、3人くらいしか会ったことがない。

 情熱的なリベラルも、筋金入りのマルクス主義者も、政治に無関心な人も、台湾を国家と見なすという考えに猛然と反発する。そのような考えは中国人の大多数にとって異様であり、タブーであり、侮辱的でさえある。アメリカ人に奴隷制の復活を提案するようなものだ。

 中国政府が「13億人の中国人の感情を傷つけた」と怒るのはいつものポーズだが、台湾に関する場合は事実に近い。アメリカの大学に留学した10代の女子学生は、寮の壁に掲げられた台湾の旗に憤慨。中国版ツイッターの微信(ウェイシン、WeChat)に「国じゃないのに!」と投稿すると、学内の中国人学生たちが賛同し怒りのコメントを付けた。

【参考記事】「トランプ劇場」に振り回される習近平

 これは、中国が外国勢力から屈辱を受けてきた(事実だが過去の話だ)というプロパガンダの産物だ。台湾の過去の富と成功に対する執着と恨みが絡み合い、本土が手にした力へのうぬぼれが輪を掛けている。

 台湾の存在という長年の現実を否定することは、中国の国家主義の不幸で苦々しい側面でもある。一夜で変わるものでもない。仮に中国共産党が今すぐ消滅しても、中国人は台湾の独立の願いを軽蔑し続けるだろう。

 アメリカはこの問題を、敬意を持って慎重に扱うべきだ。外交上の嘘にも一定の理解を示す必要がある。中国政府だけでなく、国民の真の怒りを刺激しかねないのだ。時には彼らの怒りを操作する政府ですら、完全にはコントロールできなくなるかもしれない。

From Foreign Policy Magazine

[2016年12月20日号掲載]

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