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トランプの外交政策は孤立主義か拡張主義か

2016年11月14日(月)18時47分
エマ・アシュフォード(米ケイトー研究所研究員)

シナリオ2)帝国主義

 トランプの選挙運動でもう1つ目立っていたのは、軍事力に重きを置く一派だ。

 ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)はつぶし、テロリストの家族も殺す。一方でイラクの原油を奪うことがなぜかトランプの中では整合性をもって1つの政策になる。内政重視なのに軍事力も重視する考え方だ。

 タカ派の議会強硬派と次期副大統領マイク・ペンスの他でトランプ政権の閣僚候補とされているのはネオコン(新保守主主義)のジョン・ボルトン元国連大使、タカ派のマイケル・フリン元米国防情報局長などだ。

 良い面をみれば、第一のシナリオと同じように、アメリカが外国の内戦に不必要に関わることは減るだろう。しかし、デメリットのほうがるかに大きい。軍事支出が増大し、軍事衝突も増えるだろう。

 言うまでもなく、これらは両極端のケースだ。最も現実味があるのは、この2つのシナリオの組み合わせによってより穏健な政策で落ち着くことだ。例えばトランプがロシアに対して妥協的な態度に固執するなら、他の分野で議会に妥協するという具合だ。

 だとしても、懸念は払拭できない。トランプの外交方針がまったくわからないからだ。従って我々は、トランプが大統領だという現実に自分を慣らしながら、常に自問しなければならない。次は何が起こるだろう? 

This article first appeared on the Cato Institute site.


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