最新記事

移民政策

まるで鎖国、トランプ移民政策のすべて──専門職やグリーンカードも制限、アメリカの人口も減る!

2016年11月10日(木)18時30分
アレックス・ナウレステ(米ケイトー研究所、移民政策アナリスト)

3)アメリカで生まれた人に自動的に米国籍を認めるのはやめる

 これには合衆国憲法の改正が必要になりそうだが、著名なアメリカ人法学者リチャード・アレン・ポズナーは法律を改正すれば可能だと解釈している。

 現行制度は法の下の平等を保障する合衆国憲法修正第14条よりもずっと昔に定められたもので、何世代にもわたり移民がアメリカに同化するうえでの拠り所となってきた。出生地での国籍付与を認めなかったヨーロッパの国々と比べると、アメリカの移民の境遇は対照的だ。もしこの法制を廃止するなら、国籍に関する法規で根拠となる概念が、現行の「出生地主義」から「血統主義」に取り換えられることになる。

4)不法移民強制送還の免除政策(DACA)を停止する

 バラク・オバマ大統領は12年、入国時に15歳以下だった約66万5000人の不法移民の若者に、一定の条件を満たせば一時的な就労を許可し、強制送還を免除する政策を打ち出した。

 DACAを継続するかどうかは、大統領に委ねられる。トランプの移民政策の方針書に明記はされていないが、トランプが更新を停止してこの制度を廃止に追い込む可能性は高い。

 DACAの適用を申請するために提出された個人情報を手に入れればトランプ政権は不法滞在者の特定が可能になり、彼らをより効率的に強制送還するための証拠として転用する可能性がある。DACAの恩恵を受けてきた不法移民やその家族、友人らは、互いの関係を引き裂かれる人道上の悲劇に直面しそうだ。

合法・不法を問わず

5)不法移民を強制収容する

 アメリカ国内で逮捕された全ての不法移民を収容する。この政策はすでに一部で実施されているが、トランプ政権は規模を一気に拡大する。それには、暴力や貧困から逃れて密入国した中米出身の子どもたちの収容施設を造ったのと同じように、新たな施設を建設する必要があるだろう。

【参考記事】不法移民、トランプが強制送還部隊の創設を提唱

6)合法的な移民の数も減らす

 トランプは方針書で、外国人労働者に対するグリーンカードの新たな付与を「一時停止」するよう主張している。目的は「雇用されていない国内の移民や従業員を優先して雇わせるため」だ。

 14年に発行された雇用に基づくグリーンカードは15万1596人分で、うち86%は別のビザですでにアメリカ国内に滞在していた人々が取得した。残りの14%は海外に居住していた労働者に割り当てられた。米政府は同年、家族関係に基づく64万5560人分のグリーンカードを発給し、すべての取得者がアメリカで就労することを認めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請件数は横ばいの21.3万件、労働

ワールド

イラク海域のタンカーで小規模爆発、イランが遠隔操作

ワールド

情報BOX:米・イスラエルのイラン攻撃後の中東にお

ワールド

米ウクライナ、3者協議延期・開催地変更を検討=ゼレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 7
    「え、履いてない?」モルディブ行きの飛行機で撮影…
  • 8
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 8
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中