最新記事

中国共産党

中国の習近平主席、党内ライバル派閥「抑え込み」で権力確立狙う

2016年10月8日(土)18時14分


幹部予備軍

 習主席の父親である習仲勲は、1949年の中華人民共和国建国前から共産主義革命の中心人物の1人で、毛沢東時代には副首相を務めた。習氏の派閥には、地方官僚としてさまざまな省・都市で築いてきた政治基盤からの支持者や、習氏が在籍した北京の名門・清華大学の出身者も含まれている。

 共青団は、中国共産党の「支援組織で予備軍」として知られており、共産党への入党を望む者にとっての入り口に当たる。共青団は大学生を中心に、国内のエリート子女を集め、育成している。年長の幹部たちは、実際には団員ではないが、派閥の一員と見なされている。

 共青団派のイメージは、2012年、当時の国家主席である胡錦濤氏の側近だった令計画氏が、高級スポーツカー運転中の事故で死亡した息子について隠蔽工作を行ったことでダメージを負った。トップ官僚の子女が裕福で特権的な生活を送っており、一般国民とは別世界に暮らしていると思われることに神経を尖らせている共産党にとっては、困惑すべき事態だった。令氏はその後、汚職を告発されて終身刑を宣告された。

 共産党内の第三の主要派閥として、90歳の江沢民元国家主席が率いる、いわゆる「上海閥」がある。上海で経験を積んできた官僚たちで構成される派閥だ。しかし、この派閥の勢いも党内再編のなかで衰えていくと予想されているという。

 共青団派、太子党、上海閥という3つの派閥のあいだには大きな政策的差異はなく、いずれも党による国家運営の強化を是としている。官僚のなかには複数の派閥に協力し、派閥への帰属とは別に個人的な忠義を抱いている者もいる。

 共青団派が権力低下に直面しているのは、常務委員会だけではない。常務委員会と同様に重要な意志決定機関となっている政治局において、共青団派は現在、定員25人のうち14人を占めているが、その多くを失う可能性が高い。14人のほとんどは来年には定年を迎えるが、習主席に忠実なメンバーで置き換えられる可能性が高いという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

パナソニック、アノードフリー技術で高容量EV電池の

ワールド

タイ、通貨バーツ高で輸出・観光に逆風の恐れ

ビジネス

自工会会長、米関税「影響は依然大きい」 政府に議論

ワールド

中国人民銀、期間7日のリバースレポ金利据え置き 金
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中