最新記事

中国共産党

中国の習近平主席、党内ライバル派閥「抑え込み」で権力確立狙う

2016年10月8日(土)18時14分

 もっとも、習氏は共青団派が完全に冷遇されていると感じないよう、きわどいバランスを模索している。もしそうなれば、胡錦濤氏の反感を買って党内の和が乱れるからだ。常務委員会ではないにせよ、共青団派のメンバーの一部は新たな地位を得ることになりそうだと関係筋は予想する。

 たとえば、胡錦濤氏の息子である胡海峰氏については、中国東部の重要な港湾都市である寧波の市長(副大臣格の地位)への昇格が有力視されている。胡海峰氏は現在、上海近郊の嘉興市という、寧波ほど重視されていない都市の市長を務めている。同氏からのコメントは得られなかった。

 また国営新華社通信の報道によれば、29日、習氏は党内への訓示のなかで、最近刊行された胡錦濤氏の著作を「党の政治建設及び党員の理論的訓練の重要な一部」であるとして、これを学習するよう呼びかけている。

 共青団派のなかで台頭著しく、中国アナリストのあいだで将来の国家主席候補として話題になっているのが、広東省の党委員会書記である胡春華氏(53歳)だ。政治局員のなかでも最も若い2人のうちの1人であり、中国研究者からは、さらに常務委員へと昇格する最有力候補と見られている。

 だが、関係筋によれば、広東省南部の漁村・烏坎村における抗議デモの収拾がつかなくなれば、胡春華氏の昇進のチャンスも危うくなる可能性があるという。烏坎村では民主的に選出された村長が投獄されたことに対し80日以上にもわたって抗議デモが行われていたが、9月に入って警察当局が取締りを行っている。

 (翻訳:エァクレーレン)

Benjamin Kang Lim Ben Blanchard
[北京 30日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金正恩氏が列車で北京へ出発、3日に式典出席 韓国メ

ワールド

欧州委員長搭乗機でGPS使えず、ロシアの電波妨害か

ワールド

ガザ市で一段と戦車進める、イスラエル軍 空爆や砲撃

ワールド

ウクライナ元国会議長殺害、ロシアが関与と警察長官 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあるがなくさないでほしい
  • 3
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世界的ヒット その背景にあるものは?
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 6
    BAT新型加熱式たばこ「glo Hilo」シリーズ全国展開へ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 10
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 8
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中