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モハメド・アリ寄稿

リングと米社会で戦い続けた英雄アリが語った奇跡の一戦

2016年6月15日(水)18時00分
モハメド・アリ

 第4ラウンドにはジョージに疲れが見え始めた。だから次は挑発することにしたんだ。「どうしたこの野郎、なんとかしてみろよ。全然効かないぞ。もうガス欠か。だったらこっちからぶちのめしてやるぞ」ってね。

 奴を怒らせて、パンチを打ち続けさせたかったんだ。時々視線を上げて、こっちからもパンチを繰り出す。で、またロープ際に戻るんだ。奴の腕の動きがどんどん鈍くなっていくのが分かったよ。

 リングに立ったら、相手をKOする最高の一発を狙うもんだ。でも、いくつものパンチの中で、どれが相手を倒すかは、その時が来るまで分からない。第8ラウンドにジョージが倒れたとき、分かったよ。これで終わったんだって。うれしかった。もしジョージが起き上がってまだ戦おうとしたら、もう1発殴り飛ばしてやったさ。

【参考記事】紫の異端児プリンス、その突然過ぎる旅立ち

 今、俺はパーキンソン病と闘っている。だけど病気も俺を止めることはできない。どこにでも行くし、仕事もするし、インタビューだって受ける。

 世界中がぶったまげるようなことを言ってやろうか。トレーニングを再開して、体を作り直すつもりなんだ。体重を35ポンド落として、マジソンスクエア・ガーデンで2、3人を相手にエキシビションをやる。

 15ラウンドの間ダンスし続けて、そいつらをぶっとばす。俺は(戦い方を)忘れちゃいない。体重は210ポンドにする。それで言ってやるんだ。「戻ってきたぞ。契約書を出しな」ってな。

[2016年6月14日号掲載]

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