最新記事

経営

一文無しも経験したから言える「起業=投資論」

15歳で起業、一度は一文無しになりながらも、20代で10億稼いだ日本人アントレプレナーの「強烈」経営論(3)

2016年4月15日(金)16時55分

「起業とは非上場株式投資である」 リーマン・ショックで年商35億円の会社を潰した経験もある正田圭氏はこう言う――投資のポートフォリオといえば「株、債権、不動産」が主だが、起業家はいわば自社の非上場株式を対象として資産運用をしているのであり、ポートフォリオを組む際にはそれを忘れてはならない champja-iStock.

 このところ、まだ起業家マインドが足りないとされる日本でも、10代の起業家が増えている。彼ら若き起業家たちの活躍は、多くの面で参考になるだろう。だが、もしも彼らが、30代や40代、あるいはそれ以上の年齢の社会人に向けて「経営論」を振りかざしたらどうだろう。どれだけの人が素直に聞く耳を持つだろうか。

 何も"振りかざしている"わけではないだろうが、この人物の言葉は傾聴に値すると言えそうだ。正田圭、現在29歳。15歳の中学校在学時に株式投資を始め、まもなくインターネット事業で起業。10代で1億円の資産を手に入れるが、カジノにはまったり、詐欺師に騙されたりして一度は一文無しに。その後、未公開企業同士のM&Aサービスなどを展開し、20代で10億円の資産をつくったという人物である。

 ただ10代で起業したというだけではない。「経験豊富」というひと言では片付けられないほど強烈な体験を積み重ねてきており、「失敗から学べることはない」「起業は将来における自分の選択肢を狭める」「人脈はあまり重視しない」など、そこから導き出された痛いほどリアルな経営論はユニークで説得力がある。

 このたび、正田氏がその経験と経営論をまとめた新刊『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』(CCCメディアハウス)が刊行されたのを機に、同書から経営論を記したコラムの一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。

 以下、シリーズ第3回は、いったん会社を売却し、経営について勉強し直した正田氏が、再出発して多角化経営を行い、年商35億円規模の会社を経営していた頃の話から。そこへ訪れたのがリーマン・ショックで、不動産の転売で稼いでいた彼は、危機を乗り越えられず、再び振り出しに引き戻されたという。精神的にも体力的にも疲弊した正田氏は、お金に対する考え方や生活習慣を見直した――。


『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』
 正田 圭 著
 CCCメディアハウス

※シリーズ第1回:はったり営業もしていた若き起業家の「失敗論」
※シリーズ第2回:20代で資産10億、「アイデア不要論」を語る

◇ ◇ ◇

起業とは非上場株式投資である

 ここで、起業と投資に関する話をしてみます。

 投資をする際には、「株式7割、不動産3割」、もしくは「債券2割、株式5割、不動産3割」といった具合にポートフォリオを組んでいきますが、この組み合わせ方を「アセットアロケーション」と呼びます。このアセットアロケーションの良し悪しが投資の成否に大きく影響するというのが基本的な考え方で、何に投資するのかではなく、投資のポートフォリオの組み方のほうがより重要なのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアとの戦争、2カ月以内に重大局面 ウクライナ司

ビジネス

中国CPI、3月は0.3%上昇 3カ月連続プラスで

ワールド

イスラエル、米兵器使用で国際法違反の疑い 米政権が

ワールド

北朝鮮の金総書記、ロケット砲試射視察 今年から配備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加支援で供与の可能性

  • 4

    過去30年、乗客の荷物を1つも紛失したことがない奇跡…

  • 5

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカ…

  • 6

    ウクライナの水上攻撃ドローン「マグラV5」がロシア…

  • 7

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 8

    礼拝中の牧師を真正面から「銃撃」した男を逮捕...そ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中