最新記事

中国経済

中国とチェコが戦略的パートナーシップ協定を締結

習近平、欧州16カ国目のパートナー締結国チェコを中国の首脳として初めて訪問

2016年3月30日(水)10時24分

中国の習近平国家主席とチェコのゼマン大統領は29日、戦略的パートナーシップ協定を締結した。David W Cerny-REUTERS

中国の習近平国家主席とチェコのゼマン大統領は29日、戦略的パートナーシップ協定を締結した。ビジネスや投資の関係強化を図る狙いだ。

チェコは共産主義から体制を転換して以降、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)との関係を重視してきた。しかし、2013年に選出されたゼマン大統領は、中国とロシアとの関係強化に力を入れている。ただチェコでは、大統領ではなく政府が主に外交政策を担う。

EUと中国・ロシアとの関係は人権問題をめぐる対立で悪化している。

チェコ以外に欧州の約15カ国が中国と同様の協定を結んでいる。

中国の首脳がチェコを訪問するのは初めて。習氏は、大統領公邸での夕食会やプラハ城で21弾の礼砲がとどろいた歴史あるプラハ城での歓迎式典など特別な待遇を受けた。

ただ習氏の訪問は、野党や人権問題活動家らの抗議運動を招いた。

チェコの警察は前日、プラハの空港から中心街にかけて掲げられていた中国国旗をチベットの国旗と取り換えた12人以上を拘束した。

この日は、習氏がチェコのソボトカ首相と会談するプラハ郊外のリヒテンシュタイン宮殿とプラハ城の2カ所でも抗議活動があった。

チェコ政府は記者団に対して、今回の合意が、人権や外交、経済関係に関するEUの考え方から逸脱するものではないと述べた。中国が自らの一部としている台湾については、ビジネス関係を継続させたいとの意向を反映しているとした。

チェコは中国にとっての中欧の金融・航空ハブになりたい考えだ。中欧ではチェコの大手金融グループPPFや自動車大手フォルクスワーゲン・グループに属するチェコのシュコダ・オートが活発に事業展開している。

中国のチェコに対する投資では、中国のエネルギー企業のCEFCが複数の金融や航空、ビール会社を買収した例がある。

ゼマン氏は「中国にとってチェコ共和国が欧州連合の玄関になることを望む」と述べた。

チェコは対中国でEUと同じ考え方をとっているものの、ゼマン氏は前例のない意思表示をしている。昨年9月には中国の北京で開催された第2次世界大戦終結を記念する軍事パレードに出席。西洋各国の首脳で唯一の出席者となった。

[プラハ 29日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏の核施設破壊発言、「レッドライン越え」=

ビジネス

NY外為市場=ドルまちまち、対円では24年12月以

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、月間では23

ワールド

日本と関税巡り「率直かつ建設的」に協議=米財務省
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中