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日本男子「草食化」の背景にある経済格差

2016年3月29日(火)15時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

 しかし、それだけではないだろう。近年の若者の経済状況の変化と関連しているのではないか。現在では雇用の非正規化が進んでいるが、婚姻状況や恋人の有無は、正規と非正規の間で大きな差異が生じている。日本の20代男女を正規・非正規に分けて回答の分布を見ると、<図2>のようになる。横幅の大小で、2つの群の比重も表している。

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 男性では、恋人がいない人の割合は正社員では5割だが、非正規職員では8割にもなる。家族を養う経済力を男性に求める日本のジェンダー観念の影響が見てとれる。男性の場合、年収が高いほど既婚率は高い(女性はその反対)。【参考記事】「生涯未婚率は職業によってこんなに違う

 恋人がいない若者の増加は、前段のようにメンタリティの要因で説明されることが多いが、彼らの経済状況とも関連している。考え方や価値観の変化だから仕方がないと、一蹴されてはならない問題だ。

 もう一つ気がかりなのは、奨学金の返済との関連だ。今や高等教育機関の学生の半分が奨学金を借り、数百万円の借金を背負っている。それが恋愛や結婚の足かせになっていないだろうか。奨学金を借りている人との交際を、親から禁じられる学生もいるという(「お金ないから大学いけない 国立でも授業料年54万 40年前比15倍」毎日新聞、2016年2月4日)。家庭負担に依存する日本の高等教育が、教育機会の階層格差だけでなく、恋愛・結婚の格差も生じさせている。

 若者の草食化や未婚化は、経済状況とリンクした格差の問題としても捉える必要がある。

<資料:内閣府『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』2013年

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