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欲と機転で金融危機をぶっ飛ばせ

2016年3月4日(金)16時00分
デーナ・スティーブンズ

 ストーリーのテンポは速い。マーガレット・サッチャーやベン・バーナンキからシンディ・ローパーまで、バブルの時代を彩った著名人の映像も織り交ぜながら、バブルが膨らんで08年にはじけるまでのアメリカの軌跡をたどりつつ、映画は130分の上映時間を猛スピードで駆け抜ける。

【参考記事】ウォール街の「狂乱」に人生を狂わされた家族の回想録

 世界金融危機を引き起こした詐欺や組織ぐるみの不正は、さまざまな映画が取り上げてきた。銀行が舞台のスリリングなドラマもあれば(『マージン・コール』)、シリアスなドキュメンタリーも(『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』)、ギャング映画の形式を借りた作品もある(『ウルフ・オブ・ウォールストリート』)。

 だがマッケイの粋なコメディー『マネー・ショート』はユニークな離れ業を成し遂げた。誰よりコケにされ、煮え湯を飲まされるのは庶民だと指摘しつつ、理不尽な金融ゲームを徹底的に笑いのめしてみせたのだ。

© 2016, Slate

[2016年3月 8日号掲載]

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