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中東・北アフリカ経済、戦争と原油安が成長下押し

紛争地帯を抱える中東・北アフリカの昨年の経済成長率が2.6%に留まることを世界銀行が発表

2016年2月5日(金)18時58分

2月4日、世界銀行報告書は、2015年の中東・北アフリカの経済成長率が2.6%にとどまるとの見方を示した。写真はチュニジア・カスリーヌ県で若者が求職デモを行った建物周辺で1月撮影(2016年 ロイター/)

 世界銀行は4日公表した報告書で、2015年の中東・北アフリカの経済成長率が2.6%にとどまるとの見方を示した。戦争やテロリズム、原油安が下押し要因となり、10月に示した2.8%の見通しを下回ったという。

 報告書によると、シリアで5年間続く内戦や周辺国にその影響が及んだことで、2007年物価ベースで約350億ドルの生産量が失われた。これはシリアの同年の国内総生産(GDP)に相当する。

 原油価格急落によって産油国は大きな打撃を受け、歳入が落ち込んで財政赤字が拡大している。世銀によると、サウジアラビアの公的債務は2017年にGDP比で20%に達する見通し。2013年の同2.2%の10倍となる。

 「この地域で最も豊かな産油国であるサウジやカタール、クウェート、アラブ首長国連合(UAE)は巨額の準備金があり、数年間は赤字に耐えられるが、それ以降は難しいだろう」と報告書は指摘した。

 世銀が示した試算によると、シリア内戦の被害が大きい6都市(アレッポ、ダルア、ハマ、ホムス、イドリブ、ラタキア)だけで、住宅、医療、教育、エネルギー、水、輸送、農業インフラなどに35億─45億ドルの物的損害が発生しているという。

 同じく戦闘が起きているイエメンでも、首都サヌアなど4都市の損害額は40億─50億ドルに上ると推定される。

 また、人的資源への被害は一段と深刻だとの見方を示した。

 報告書をまとめた世銀のエコノミストは「シリア、イラク、リビア、イエメンで和平が成立すれば、原油生産量の急回復につながり、財政状況や経常収支の改善とともに中期的な経済成長を後押しし、周辺諸国にプラスの波及効果をもたらすだろう」との見方を示した。

 

[ワシントン 4日 ロイター]


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