最新記事

為替

日銀マイナス金利「世界の通貨安志向浮き彫り」

アリアンツの首席経済アドバイザーが、各国が成長促進のために通貨安に動いていると指摘

2016年2月1日(月)11時20分

1月29日、アリアンツのモハメド・エラリアン氏は、日銀のマイナス金利導入が世界的な通貨安志向を浮き彫りにしていると指摘した。写真は2015年11月、ニューヨークで撮影(2016年 ロイター/Brendan McDermid)

 独保険大手アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏は29日、日銀のマイナス金利導入は、多くの国が成長支援のために通貨安を望んでいることを浮き彫りにしていると指摘した。ロイターのインタビューに応じた。

「世界的な影響を考慮せず、自国の目標達成にまい進する動きが出ている」とし、「これが顕著なのが為替だ。米国を除き、大半の国は通貨安を望んでいる。日銀の決定もこれに該当する」と述べた。

 また「米連邦準備理事会(FRB)が、非常に慎重にアクセルから足を踏み外そうとし続けるなか、欧州中央銀行(ECB)、日銀、 中国人民銀行(中央銀行)は、さらに力強く(景気)刺激のアクセルを踏もうとしている」と指摘。各国中銀政策の方向性が異なり、世界的な政策調整の動きもない、新たな現実の到来と述べた。

 各国は、システムが対応可能な緩やかな成長を創出する政策を模索するのではなく、わずかな成長を目指すにとどまっていると指摘した。「これは大きな悲劇だ。より高い成長ができるのに、勢いが抑えられている」とした。

 日銀のマイナス金利導入などを受け、円は対ドルで急落した。エラリアン氏は、ドルがさらに5~10%上昇すれば、「FRBは懸念を抱き始めるだろう」と見通した。

 世界経済成長の鈍化や市場混乱を受けて、エラリアン氏は、年内の米利上げは2回というのが基本シナリオと説明。経済や金融市場情勢が悪化すれば、1回かゼロとなる可能性もあると予想した。

[ニューヨーク 29日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル34年ぶり155円台、介入警戒感極まる 日銀の

ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わら

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 9

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 10

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中