最新記事

銃社会

オバマ大統領がテレビ演説で涙、大統領令で銃規制強化へ

規制反対の共和党が多数を占める議会承認が不要な形で実施

2016年1月6日(水)10時35分

1月5日、オバマ米大統領はホワイトハウスからのテレビ演説で、議会の承認を必要としない大統領令による新たな銃規制強化策を発表した。写真は演説中に涙を流すオバマ氏(2016年 ロイター/KEVIN LAMARQUE)

 オバマ米大統領は5日、ホワイトハウスからのテレビ演説で、議会の承認を必要としない大統領令による新たな銃規制強化策を発表した。また、銃支持派の候補者に投票しないよう国民に呼び掛けた。

 新たな規制では、オンラインや展示会などで銃を販売する業者にも免許取得を義務付けるほか、銃購入希望者の身元調査を拡大する。

 大統領は、任期中に現在の銃規制法が変更されるとは考えていないと明言した上で、11月の次期大統領選挙までの期間は銃規制を争点とするために全力を尽くす、と誓った。

 また、米憲法修正第2条に定められる武器所有の権利は、祈りを捧げ、平和に集い、生活を営むための権利との調和を保つ必要があると述べた。

 大統領は演説の途中、2012年にコネティカット州の小学校で起きた銃乱射事件の犠牲者に言及し、涙を流す場面もあった。

 大統領は来週12日の一般教書演説でも銃暴力を取り上げる予定。

 共和党は大統領の銃規制強化策に反発。次期大統領選に出馬している共和党候補者の大半は大統領に選出された場合にはオバマ氏の政策を覆すとしている。一方、民主党の候補者は規制強化を歓迎した。

 全米ライフル協会(NRA)の幹部、クリス・コックス氏は声明で、規制強化策は悪用される恐れがあると指摘し、NRAは米国民の憲法上の権利を守るために闘い続ける、と語った。

 米株市場では、ホワイトハウスが銃規制強化策を発表した4日以降、銃販売が増加するとの期待感から銃器メーカーのスミス・アンド・ウェッソン・ホールディングとスターム・ルガーの株価が上昇。5日にはスミス・アンド・ウェッソンは11.1%高、スターム・ルガーは6.8%高で取引を終えた。

 

[ワシントン 5日 ロイター] -


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

経済の不確実性高い、リスク下向き=フィンランド中銀

ワールド

米財務長官、関税巡る最高裁口頭弁論を傍聴へ トラン

ワールド

米国防長官、在韓米軍の「柔軟性」検討へ 米韓同盟で

ビジネス

ノルウェー政府系ファンド、マスク氏の1兆ドル報酬案
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中