最新記事

イラク

ラマディ陥落か、ISISで残ったのは外国人戦闘員だけ

地元のスンニ派戦闘員は、イラク軍の大攻勢を前にラマディから一斉に逃げ出した

2015年12月24日(木)17時15分
ジャック・ムーア

形成逆転 今年7月、ラマディでの戦いで勝利し、ISISの旗を引きずり下ろしたイラク治安部隊 REUTERS

 イラク西部アンバル州の州都ラマディには、今ではテロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の外国人戦闘員しか残っていない。州知事のスタッフが22日夜、本誌に明かした。5月にISISがラマディを制圧した際にISISを支援した地元のイスラム教スンニ派民兵は、イラク軍の大規模攻勢を前に怖じ気づき、市外に逃亡した模様だ。

 地元のスンニ派の一部は、市民に紛れて長期間潜伏する「スリーパー・セル」や二重スパイとしてISISに協力していた。彼らが逃亡した今、抗戦を続けているのは数百人の外国人戦闘員だけだと、アンバル州のソハイブ・アルラウィ知事の補佐官兼報道官ムハナド・ハイムールは本誌記者宛ての電子メールで伝えた。

「ダーイシュ(ISISのアラビア語の略称)に関与した地元の人々は逃亡した。市内に残って戦っているいるのは外国人の戦闘員だけだ」

住民を人間の盾に立てこもり

 ハイムールによると、イラク軍の攻勢で市の中心部まで追い込まれた外国人戦闘員は、人質を「人間の盾」にするため「住民が市内から脱出するのを阻止している」という。

 イラク当局は今月に入って、クリスマスまでにラマディを奪還できる見通しを発表。イラク軍と地元のイスラム教シーア派民兵組織は米軍主導の有志連合の空爆に支援され、22日にラマディ中心部に進攻した。作戦は「計画通りに進んでおり、大きな勝利をもたらすだろう」と、ハイムールは述べ、クリスマスまでにラマディを解放するという目標に「着々と近づいている」と保証した。

 しかし、22日に電話で記者会見を行った有志連合の対ISIS作戦担当の米国防総省報道官スティーブ・ウォレン大佐は、ラマディ解放にはもっと時間がかかると語った。

「ラマディの完全な解放を宣言できるのはかなり先になる。攻略困難な地区が多くあり、1つずつ切り崩していかねばならない」

 イラクの首都バグダッドから約90キロの戦略的要衝ラマディを奪還できれば、14年6月以降、支配地域をイラクの広い地域に広げていたISISに対し、イラク政府は決定的な勝利を挙げることになる。サダム・フセインの出身地ティクリートは3月末に解放され、ISISの戦闘員が多数敗走したが、ラマディのほうがティクリートよりも大きな都市で、首都バグダッドにも近い。

イラク兵になりすまして残虐行為を

 5月にISISの手でラマディを制圧されたときは、ISIS掃討を誓うイラク首相、ハイダル・アル・アバディ率いる「挙国一致」政権の面目はまるつぶれになった。22日に市中心部に入ったイラク軍は自爆攻撃や狙撃、建物に仕掛けられた爆弾などに手を焼いたと、イラクのテロ対策局の報道官はAFPに語った。ウォレン報道官も、ラマディは建物が「非常に密集した」都市で、「狭く入り組んだ路地」に手こずらされると述べている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪中銀、2月利上げ後の金利見通し不透明=議事要旨

ビジネス

豪BHP、上半期利益が22%増 銅・鉄鉱石など好調

ワールド

北朝鮮、新築住宅の建設目標達成と国営メディア 党大

ワールド

トランプ氏、イランとの交渉に間接的に関与へ 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 2
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中