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パレスチナ

水増し? ガザ復興支援で得をするのはだれか

2014年10月23日(木)15時38分
ローラ・ディーン

 ガザにはほかにも特有の問題がある。09年に同じような復興支援会議があったときは、イスラエル政府が復興事業の承認を2年以上も引き延ばした。

 今回は、パレスチナ自治政府のアッバス議長とイスラム原理主義組織ハマスが6月に発足させたパレスチナ暫定統一政府が復興事業を監督することが条件とされている。しかしハマスがガザを実効支配する現状は当分変わりそうにない。

 今夏の猛攻撃で、わずか365平方キロのガザに40億トンもの瓦礫が残され、6万5000人以上が住む家もなく冬を迎える。復興が急務であることは明白だし、たとえ金額が半分でも必ず何かの役には立つ。だが、支援を実際より水増しして見せて得をするのは誰なのだろうか。

 ガザの復興に手を貸すことで最も点数を稼げるのはアメリカだ。イスラエルに毎年30億ドルもの軍事援助をし、今回の攻撃に使われた砲弾や手榴弾を提供したことなどへの罪滅ぼしになる。

 開催国のエジプトも得をした。ガザへの攻撃を意図的に長引かせ、難民の入国も拒んでいるのに、中東和平への貢献を称賛され、国内の劣悪な人権状況もおとがめなし。

 一番救われないのは、支援対象のはずのガザかもしれない。

From GlobalPost.com特約

[2014年10月28日号掲載]

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