最新記事

都市開発

イスラム聖地が高級リゾート化?

5つ星ホテルに泊まり、高級ブティックで買い物と、メッカ巡礼の新しい形

2014年10月9日(木)17時18分

砂漠の摩天楼 超高層ビルが林立しマンハッタンならぬ「メッカハッタン」に Muhammad Hamed-Reuters

 イスラム暦の12月を迎え、今年も世界中からイスラム教徒がサウジアラビアのメッカを訪れている。ハッジ(大巡礼)が始まったのだ。黒い立方体の建造物で「カーバ神殿」と呼ばれる聖地を囲む大モスクに多くの信者が群がるのはいつものことだが、今年は様相が違う。

 モスクの周りにはイスラム風のミナレット(尖塔)と共に無数のクレーンが林立(写真)。聖地は、610年に同地出身のムハンマドがイスラム教を開いて以来最大の建築ブームに沸く。伝統的な中東の街並みは、高層ビルが立ち並ぶ都市に取って代わられつつある。

 マンハッタンをもじって「メッカハッタン」とも呼ばれる都市開発の狙いは裕福な巡礼者たち。5つ星ホテルに泊まり、高級ブティックで買い物をし、男女別のスターバックスで喉を潤す──。

 現在約300万人の巡礼者は40年には700万人近くに達する見込み。旺盛な需要に応えるべく、サウジの有力実業家ビンラディン家主導で600億㌦のメガ開発を進めている。

 商業主義との批判もあるが、一生に一度の大巡礼に訪れた信者にとって、メッカハッタンは戦乱を忘れさせてくれる安息の場所になるかもしれない。

© Muhammad Hamed-Reuters

[2014年10月14日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中