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ウクライナ「チョコレート大統領」の評判

2014年6月10日(火)16時21分
ダリア・ソロビエワ

ロシアとEUのはざまで

 ウクライナ最大の富豪リナト・アクメトフは分離運動を支持してきたが、親ロシア派の分離主義者から資産を国営化すると脅され、ポロシェンコ支持に回った。アクメトフをはじめ資産を脅かされた実業家たちにとって、分離派を抑えるという新大統領の決意は魅力的だ。

 そして、ジェットコースターのように慌ただしい政権交代に疲れた多くの国民にとっては、ポロシェンコの商才と支配層との人脈も魅力だった。

 大統領選で彼はロシアからクリミア半島を取り戻し、EUに接近する道をたどることを誓った。ロシア側も、ポロシェンコを交渉可能な相手とみる。

 ロシアのラブロフ外相は、大統領選の結果を受け対話の用意があることを明らかにした。「対ロシア関係を重視するという、ポロシェンコの発言で示された意思を尊重する」

 腐敗に取り組む国際組織トランスペアレンシー・インターナショナルが発表した13年の腐敗認識指数のランキングによれば、ウクライナは調査対象国177カ国中144位だった。ウクライナ従業員連合会の調査では、13年の1年間だけで10億ドルが公務員への賄賂に消えたという。

 だがヤヌコビッチ政権を崩壊させた反政府運動の激動の日々の後で、普通の生活に戻ることと安定を望む国民にとって腐敗の問題は二の次かもしれない。
「重要なのは、盗まれた金を見つけることよりも、腐敗を可能にしてきた法律を廃止することだ」と、シャライスキーは言う。「ポロシェンコにそれができたなら、消えた数十億ドルは探し出せなくても大目に見ることができる」

[2014年6月10日号掲載]

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