最新記事

アフリカ

ジンバブエ「アフリカ版ディズニーランド」の無謀

ジンバブエの観光大臣が、総工費3億ドルのテーマパークを名勝ビクトリアの滝のそばに建設する計画を表明した

2013年8月28日(水)18時18分

最悪のアイデア 経済破壊の次は大自然に自らの失政の跡を刻むつもりらしい独裁者ムガベ(89) Philimon Bulawayo-Reuters

 アフリカにディズニーランドは進出していない。だがジンバブエ観光大臣の発言が本当になれば、ディズニーランドのような大型テーマパークが、世界遺産のビクトリアの滝のまわりに誕生するかもしれない。

 国連世界観光機関(UNWTO)の総会が、今年はザンビアとジンバブエの共催で行われている。会場はビクトリアの滝のそばだ。ここで、ジンバブエ観光庁の閣僚から驚きの声明が飛び出した。

 ウォルター・ムゼンビ観光大臣が、総工費3億ドルのテーマパークをビクトリアの滝の周囲に建設する計画を明らかにしたのだ。ザ・ガーディアン紙によれば、それは彼が言うところの「アフリカ版ディズニーランド」で、娯楽施設、銀行、カジノなど観光客が快適に過ごせるさまざまな設備を擁するという。

 ザ・テレグラフ紙によれば、ムゼンビは「政府はビクトリア・フォールズ国際空港周辺に、ホテルやコンベンションセンターの建設用として1200ヘクタールの土地を確保済みだ」とジンバブエ国営通信のニュー・ジアナに語った。ジンバブエに居住していなくても銀行口座を開設できるような金融特区を作りたい、とも述べたという。

 西洋風のテーマパークを、あえて政治的に不安定な地域に導入するという考えに同調しない意見もある。 「ジンバブエは、必要最低限の生活物資にも事欠くような国だ。西洋風のテーマパークなんて馬鹿げている」と、アフリカを専門とする観光会社の社長、クリス・マッキンタイアはザ・テレグラフ紙に述べた。「観光客は作り物のテーマパークより『本物』を好む」

 UNWTO総会は、155カ国が参加し6日間の会期で開催中。発展途上国は自国の観光部門の強化に必死だ。

AP通信によると、UNWTO総会の歓迎晩餐会でジンバブエのロバート・ムガベ大統領は、自分や自らの政策に対する西欧各国からの「噛みつくような」批判の眼差しを嘆きつつ、ジンバブエは観光客にとって安全かつ安心して過ごせる国だと力説したという。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

LSEG、金融データをチャットGPTに統合へ AI

ビジネス

午後3時のドルは155円前半、日銀利上げ見通しで一

ワールド

香港当局、高層住宅火災受け防護ネット全面撤去へ

ワールド

インドネシア、採掘規則違反企業を処分へ 洪水で死者
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中