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公共交通の切り札は自転車

2013年3月1日(金)15時41分
トム・バンダービルト(ジャーナリスト)

あって当たり前の存在に

 それでも駐輪場によって利用者数にはばらつきがある。利用者数を左右するのは、周辺住民の世代構成や小売店(特に酒類を販売する店)の密集度、電車の駅が近いかどうかといった要素だ。また、周辺地域の白人人口(すなわちクレジットカードを持つ人の数)も大きく関わっている。そこでキャピタル・バイクシェアでは地元銀行と連携し、クレジットカードのない人でも自転車シェアリングを利用できるようにした。

 売り上げを見る限り、事業は順調だ。まだ元手を回収するには至っていないが、「営業損益だけ見れば、1年のうち6〜8カ月くらいは黒字だ」とギリランドは言う。

 また、シェアリング事業が拡大し世間の認知度が上がったおかげで、新たな駐輪場の開設もスムーズにできるようになったとデマイオは言う。熱意あふれる役所の職員たちのアイデアが、徐々に社会に根付いてきているのだ。

「例えば出掛けた先の町で(資源ゴミの)リサイクルをやっていなかったとしたら、この町はまだ70年代なのか? と思いたくなるはずだ。今ではリサイクルは『あって当然』のサービス。自転車シェアリングも同じようになると思う」

[2013年2月26日号掲載]

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