最新記事

食品

「オーガニック食品で健康に」は勘違い?

最新研究:栄養面ではオーガニック食品も一般の食品も大差なし

2012年9月10日(月)17時16分
アレクサンダー・ベサント

自然が一番 有機栽培されたオーガニック農産物へのニーズは高まっているが Robin van Lonkhuijsen-Reuters

 値段は割高だけど体にいいから、という理由でオーガニック食品を選ぶ人は多いはず。でも実は、オーガニック食品も一般の食品も栄養面では大した違いはない――そんな研究結果が、このほどアメリカで発表された。

 同研究は、スタンフォード大学と復員軍人パロアルト医療システムの研究者たちが行ったもの。オーガニック食品のほうが一般の食品より体にいいかどうか解明するため、過去に行われた230以上の研究を分析して再検証した。

 その結果、オーガニック食品のほうが優れている点は見当たらなかったという。ビタミンやミネラルの含有量も、大した差はなかった。「思いがけない結果だった」と、研究チームのメンバーであるスタンフォード大学のデナ・ブラバタ医師は、CBSニュースに語った。

 ただし、今回の研究結果だけで判断を下すのは尚早だ。ロイター通信は、今回再検証された研究結果の多くが、そもそも「オーガニック」の定義が曖昧だったと指摘している。

残留農薬のリスクは30%近い差

 意外な発見は他にもあった。オーガニックではない一般の農産物の残留農薬の値が、想定より低かったことだ。USAトゥデーによれば、調査した一般の農産物のうち、残留農薬が検出されたのは38%(オーガニック食品はわずか7%)。しかしそのうち、残留農薬の量がEUが奨励する値を超えるものはほとんどなかったという。

 生産過程で環境に悪影響を及ぼさない、味がいいなど、消費者がオーガニック食品を選ぶ理由はさまざまだ。しかし今回の研究結果は、近年過熱する「オーガニック信仰」を冷静にみつめ直すきっかけになるかもしれない。

From GlobalPost.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

焦点:税収増も給付財源得られず、頼みは「土台増」 

ワールド

米、対外援助組織の事業を正式停止

ビジネス

印自動車大手3社、6月販売台数は軒並み減少 都市部

ワールド

米DOGE、SEC政策に介入の動き 規則緩和へ圧力
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 9
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中