最新記事

サイエンス

子育てミツバチが作る脳の若返りタンパク

最新研究で、脳の機能維持や認知症の予防が期待できるタンパク質が見つかった

2012年7月5日(木)16時30分
アレクサンダー・ベサント

健康効果 昔からハチミツに様々な効能があることは知られていたが(中央は女王蜂) Ognen Teofilovski-Reuters

 ミツバチがアンチエイジング効果のあるタンパク質を脳内で生成していることがわかった。アリゾナ州立大学とノルウェー生命科学大学のチームの最新研究によると、働き蜂の脳は幼虫の世話をするために巣に戻ると活性化されるという。

 研究では、女王蜂と幼虫を残して若いミツバチを巣から取り除いた後で、働き蜂を巣に戻した。そのまま巣で幼虫の世話をする働き蜂もいれば、再び外に出て蜜や花粉を集める働き蜂もいた。その結果、巣に残った働き蜂の約50%が、10日後には新しいことを学習する能力が著しく向上していたことが分かった。

巣を出たとたん一気に老化

「これまでの研究で、ミツバチが巣で幼虫の世話をしている間は、脳の機能が高く維持されていることは分かっていた」と、アリゾナ州立大学の研究者グロ・アムダムは言う。「しかし幼虫を世話する時期が終わると、働き蜂は蜜や花粉を集めるために巣から離れ、急速に老化する。2週間もすると羽はすり切れ、体毛は抜ける。さらに重要なのは、新しいことを学習する能力を中心に脳の機能が失われることだ」

 研究グループによれば、脳機能が向上したのはタンパク質が変化した結果だという。認知症の予防に役立つタンパク質が見つかった可能性もある。将来的に、認知症と脳の老化の仕組みの理解を深めるきっかけになるかもしれない。

From GlobalPost.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

S&P、米信用格付けを据え置き 関税歳入が財政打撃

ビジネス

少額の仮想通貨所有、FRB職員に容認すべき=ボウマ

ビジネス

ホーム・デポ、第2四半期は予想未達 DIY堅調で通

ワールド

インド首相・中国外相が会談 直行便の再開や貿易・投
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル」を建設中の国は?
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 6
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 7
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 8
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 9
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 7
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中