最新記事

カナダ

住みやすい都市の座を奪われたバンクーバー

10年間首位を独走していたバンクーバーを抜いたのはどこの都市か、敗因は何だったのか

2011年9月2日(金)17時18分

これが原因? アイスホッケーの試合をきっかけにバンクーバーで起きた6月の暴動は、調査には反映されていない Anthony Bolante-Reuters

 英エコノミスト誌の調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が発表した「住みやすい都市」ランキングで、オーストラリアのメルボルンが初の1位になった。

 調査は1年に2回行われ、今回は世界140都市が対象。オーストラリアからはシドニー、パース、アデレードもトップ10入りした。

「人口密度が低く、犯罪率が比較的低いこともあって、オーストラリアからはいつも複数の都市がランク入りする」と、調査をまとめたジョン・コープステークは語っている。「生活費は上昇しているものの、さまざまな要素のおかげで非常に魅力的な都市になっている」

 その要素とは、政治や社会の安定から、質の高い医療や文化イベントまで幅広い。

怒ったカナダ人から電話が殺到

 カナダも健闘しており、バンクーバー、トロント、カルガリーの3都市がトップ10入り。しかし、過去10年間首位を保ってきたバンクーバーがその座を奪われたことは、カナダの人々にとって嬉しくないニュースだったようだ。「バンクーバーの首位転落が分かると、EIUの電話回線はパンクしそうになった。落ちた理由がわかりにくかったので、なおさらだった」と、カナダのグローブ・アンド・メール紙は報じた。

 バンクーバーは今回、メルボルン、オーストリアの首都ウィーンに次ぐ3位だった。EIUによれば、順位を落としたのはインフラ問題のせいだ。マラハト・ハイウェイが断続的に通行止めになっていることがその一例だという。

 これに対してカナダの人々は、マラハト・ハイウェイが通勤で使われることはないし、この高速道路はジョージア海峡を挟んで向こう側にあるバンクーバー島を走っているもので、バンクーバーとは関係ないと主張している。

 一方ワースト3となったのは、ジンバブエのハラレ、バングラデシュのダッカ、パプアニューギニアのポートモレスビー(いずれも首都)。ちなみにアジアでは大阪の12位が最高で、東京は18位だった。

GlobalPost.com 特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 6

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中