最新記事

タイ

1日10ドルの賃金を夢見るタイの現実

1日当たり50セントの賃上げを求めてストライキを起こす労働者の苦境

2011年8月24日(水)15時12分
パトリック・ウィン

初の女性首相 インラックは最低賃金引き上げに意欲的 Sukree Sukplang-Reuters

 タイの移民労働者が1日当たり50セントの賃金アップを求めてストライキを起こす。そう聞けば、タイの労働状況がいかに悪いか想像できるだろう。

 先日の総選挙で圧勝したタイ貢献党の次期首相候補インラック(8月より首相)は、最低賃金を1日10ドルに引き上げると公約。実現すれば1日当たりの賃金は35〜90%上昇するとみられる。

 大学卒の最低月給は495ドルが保証されるだろう。コーヒー1杯が2ドルの「高級店」に通う若きエリートたちが手にしているのと変わらない額だ。

 ただし最低賃金の大幅引き上げには大企業ばかりか、WHO(世界保健機関)の元顧問プラワセ・ワシといった社会思想家まで反発している。雇用主が住居と食事を提供しさえすれば、労働者は1日4.90ドルでやっていける、とプラワセは言う。だがそれでは、労働者はいつまでも貯金をしたり、子供を医者に連れて行ったり大学に行かせられないことになる。

 賃金引き上げは、安い労働力を求める外国企業をタイから遠ざけかねない。だが教育機会の拡充につながれば、今以上の賃金に見合った技術を持つ労働者が現れることになるだろう。

[2011年7月27日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン大統領、米大統領選から撤退表明 「ハリス氏

ワールド

トランプ氏、「ハリス氏のほう負かしやすい」 バイデ

ワールド

トランプ氏、演説で民主党あざける 暗殺未遂後には習

ワールド

イスラエル軍、イエメンのフーシ派拠点空爆 テルアビ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50
特集:まだまだ日本人が知らない 世界のニュース50
2024年7月16日/2024年7月23日号(7/ 9発売)

日本の報道が伝えない世界の仰天事実。世界の今が見えるニュースクイズ50

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 2
    「別人...」ウィル・スミスと一緒に写るジョニー・デップの姿が話題に...33歳年下「新恋人」との写真も
  • 3
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい」と話題に
  • 4
    ロシア防空ミサイルが「ドローン迎撃」に失敗...直後…
  • 5
    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…
  • 6
    メーガン妃の「狂気的なオーラ」が注目を集める...そ…
  • 7
    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に
  • 8
    出産間近!ヨルダン・ラジワ皇太子妃が「ロングワンピ…
  • 9
    見落とされがちな「女の子のADHD」15の徴候とは?
  • 10
    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…
  • 1
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい」と話題に
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    出産間近!ヨルダン・ラジワ皇太子妃が「ロングワンピース姿」で公務へ
  • 4
    トランプが銃撃を語る電話音声が流出「バイデンは親…
  • 5
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
  • 6
    ミサイル迎撃の「劇的瞬間」と祝福の雄叫び...「普段…
  • 7
    AI生成の「ネコ顔の花」に騙される人が続出!? ニ…
  • 8
    「別人...」ウィル・スミスと一緒に写るジョニー・デ…
  • 9
    韓国でLINEユーザーが急増した理由 日本への反発?
  • 10
    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 5
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 6
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 7
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
  • 8
    携帯契約での「読み取り義務化」は、マイナンバーカ…
  • 9
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地.…
  • 10
    ルイ王子の「お行儀の悪さ」の原因は「砂糖」だった.…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中