最新記事

ファッション

鬼才ガリアーノ破滅の真相

トップデザイナーの地位から転げ落ちた2月のあの晩にいったい何が起きたのか。捜査当局の証拠書類を基に徹底検証する

2011年6月23日(木)11時13分
クリストファー・ディッキー(パリ支局長)、トレーシー・マクニコル(パリ)

華やかな時代 ディオールのトレダノCEO(左)、香水のモデルとなった女優ナタリー・ポートマンと(2010年) Dimitrios Kambouris-Wireimage/Getty Images

 どうして私みたいな女が着る服をデザインしないの?──ジョン・ガリアーノ(50)が記憶する限り、その運命の夜のトラブルは、見知らぬ女性が放ったこのひとことから始まった。

 2月24日の夜、パリのマレ地区にあるカフェ「ラ・ペルル」でのこと。ガリアーノはクリスチャン・ディオールのクリエーティブディレクターとして、2011年秋冬コレクションの発表を翌週に控えていた。

 女性側の言い分では、彼女は隣のテーブルにいる、長髪で海賊みたいな服装の男が有名なデザイナーだとは知りもしなかった。ホームレスではないかと思ったほどだ。

 そして事態は瞬く間に悪化。ガリアーノはほぼ1時間にわたり、反ユダヤ的で人種差別的な言葉を女性客に浴びせ続けた。

 ラ・ペルルはアート系の客に人気の店だが、決してしゃれた店ではない。カウンターは鉛製で、内装にはオレンジの合成樹脂が使われている。男性用トイレは床に置かれた便器に穴が開いているだけだ。この店なら何をしたって許されると、ガリアーノが思っていたのは明らかだ。

 ところがその晩、騒ぎが大きくなって彼が警察に連行され、それが世界中で報じられると、ガリアーノの醜い行状が次々と明らかになった。...本文続く

──ここから先は6月22日発売の『ニューズウィーク日本版』 2011年6月29日号をご覧ください。
<デジタル版マガストアでのご購入はこちら
<デジタル版Fujisan.co.jpでのご購入はこちら
<定期購読のお申し込みはこちら
 または書店、駅売店にてお求めください。

カバー特集は「崖っぷちのアメリカ」。中東の地殻変動で拠り所を失うCIAの苦悩、1400万人の失業を克服するためのビル・クリントン元大統領からの提言、期待はずれだったバラク・オバマ大統領の後釜を狙う「刺客」など、自信喪失に陥った超大国の運命を多角的に探りました。

他にも
■性転換モデルのランウエー改革
■イタリアは本当に「脱原発」だったのか
■アップルの頭脳流出が始まった、など
<最新号の目次はこちら

[2011年6月29日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みんなそうじゃないの?」 投稿した写真が話題に
  • 4
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 7
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    インド映画はなぜ踊るのか?...『ムトゥ 踊るマハラ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中